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マーケティング組織とは?役割・業務内容・構築の進め方を徹底解説
「集客や売上を伸ばしたいけれど、どこから着手すべきか分からない」――そんな悩みを抱える企業が増えています。
SNSやWeb広告、SEO、コンテンツマーケティングなど、企業が活用できるマーケティング手法は多岐にわたります。しかし、これらを効果的に実行し成果につなげるためには、「誰が、何を、どこまで担当するのか」が明確に定義されたマーケティング組織の存在が欠かせません。
そこで本記事では、「マーケティング組織とは何か」という基本から、組織が果たす役割、仕事内容、代表的な組織の型、構築の流れ、よくある悩みとその解決策までをわかりやすく解説。
さらに、自社だけでの体制構築が難しい場合に検討すべき外部支援という選択肢についても触れます。自社内のマーケティング組織構築にお悩みなら、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
マーケティング組織とは?その定義と果たす役割
マーケティング組織とは、顧客のニーズを的確に捉え、商品やサービスの価値を届けることで、売上やブランド価値の向上を担う専門的なチームや部署のことを指します。
従来の販促部門のような役割にとどまらず、戦略設計から施策の実行、データに基づいた改善提案までを一貫して担うことが求められています。
なぜ今、マーケティング組織が重要なのか?
近年、購買プロセスは大きく変化しています。
消費者や企業の意思決定は、営業担当との対話の前に、SNSや検索エンジン、口コミサイト、動画コンテンツなどから情報収集する傾向が強まっています。
つまり、顧客との最初の接点は「営業」ではなく「マーケティング」になっているのです。そのため、営業活動の前段階から価値を届け、見込み顧客との関係を築くマーケティングの役割は、ますます重要になっていると言えます。
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『マーケティングプロセスを理解すれば売れる仕組みがつくれる|全体設計ガイド』
マーケティング組織が担う主な役割
マーケティング組織は、企業の状況や戦略に応じてさまざまな業務を担いますが、代表的な役割は以下のとおりです。
・市場や顧客ニーズの調査・分析: どんな人が、どんな悩みを持っているのかを明確にする
・商品・サービスの価値訴求の設計: 誰に、何を、どう伝えるべきかを設計する
・集客・認知獲得のための施策実行 :Web広告、SEO、SNS、イベントなどを活用して顧客接点をつくる
・見込み顧客の育成 :情報提供や体験を通じて、購入意欲を高める
・施策の効果測定と改善 :アクセスや問い合わせ数などのデータを分析し、PDCAを回す
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『マーケティングとは?初心者にもわかる意味・戦略の立て方・手法を解説』
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マーケティング組織の仕事|業務の流れとメンバー構成
マーケティング組織の仕事は、「調査から施策実行まで」を一貫して担うことにあります。ここでは、代表的な業務フローを4つのステップに分けて解説し、それぞれのフェーズにどのような役割が求められるのかをご紹介します。
1. 市場環境分析
マーケティングの起点となるのが「市場環境分析」です。
顧客ニーズや購買行動、競合の動き、業界全体のトレンドを把握することで、自社の立ち位置や今後の可能性を見極めます。
■主な業務内容:
・ ターゲット層の調査(年齢・性別・価値観など)
・ 顧客の行動プロセスの把握(例:SNS閲覧→検索→比較→購入)
・ 競合のプロモーション手法や訴求軸の分析
この分析結果が、以降の戦略設計や施策選定の土台となります。
2. マーケティング戦略の設計
市場環境を踏まえ、誰に・何を・どのように届けるかを整理します。
ここでは、マーケティング活動全体の方針を定め、部門の目的と目標(KGI・KPI)を明確にする役割を担います。
■主な業務内容:
・ ペルソナ設計(ターゲット像の明確化)
・ 訴求軸の設計(商品・サービスの強み整理)
・ 顧客接点の整理(どのチャネルでアプローチするか)
・ 数値目標(KPI)の設定と進捗管理体制の構築
このステップでは、マーケティングと営業、商品開発部門などとの連携も必要になります。
3. マーケティング施策の立案・設計
戦略に基づいて、具体的な施策を立案・設計します。
媒体選定、コンテンツの方向性、配信タイミングなど、成果を出すための企画を練るフェーズです。
■主な業務内容:
・ SEOキーワードや記事テーマの選定
・ 広告予算配分とクリエイティブの方向性策定
・ SNSの投稿計画やキャンペーン設計
・ LP(ランディングページ)の構成設計・改善案
戦略を「実行可能な形」に落とし込むための設計力と、各メディアの特性を理解する力が求められます。
4. マーケティング施策の実行
設計した施策を実行に移し、成果の最大化を目指します。
実行と並行して、効果測定や改善準備も進めることが重要です。
■主な業務内容:
・ Web広告の配信と運用
・ SEO記事やホワイトペーパーの制作・公開
・ SNSの投稿、エンゲージメント対応
・ Google Analyticsやヒートマップによるデータ計測
各施策が単独で動くのではなく、一連の流れとして連動することが成果の鍵となります。
このように、マーケティング組織は単なる「宣伝部門」ではなく、事業成長の仕組みを担う中核的な存在として機能しているのです。
関わる主な職種・役割
マーケティング組織では、以下のような職種が連携しながら業務を進めます。
職種 | 主な役割例 |
---|---|
Web広告担当 | リスティング・SNS広告の設計と運用 |
コンテンツ担当 | SEO記事、ホワイトペーパー、LP原稿などの企画・制作 |
SNS担当 | InstagramやXの投稿・ファンとのコミュニケーション |
データ分析担当 | 効果測定、CVR分析、改善提案 |
プロジェクトマネージャー | 戦略と施策の進行管理、部門間の調整 |
企業の規模や体制に応じて一人が複数の役割を担うこともあれば、専門チームで分業することもあります。
このように、マーケティング組織の仕事は多岐にわたりますが、全体を「戦略から施策までの流れ」として設計・実行できることが成果のカギです。
代表的なマーケティング組織のタイプと特徴
企業の規模や事業内容によって、マーケティング組織のあり方はさまざまです。ここでは、一般的に導入されている3つの組織タイプをご紹介します。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のフェーズや目的に応じて適切な体制を選ぶことが重要です。
プロダクト(事業部)型
プロダクト型は、商品やサービスの単位ごとにマーケティング担当を配置する組織形態です。複数の事業やブランドを展開している企業に多く見られます。
■特徴
・ 商品ごとに責任を持ち、スピーディな意思決定と実行が可能
・ 市場や顧客に密着した柔軟な対応がしやすい
■課題点
・ 全社的な視点が持ちにくく、情報やノウハウが分断されやすい
・ 似た施策を各部門が個別に行い、非効率になることも
職能(ファンクション)型
職能型は、広告、コンテンツ、SEO、SNS、分析などの機能ごとに専門チームを編成する組織形態です。社内にマーケティング専門人材が複数いる場合に適しています。
■特徴
・ 各分野において高い専門性とスキルが発揮できる
・ 組織内での横断的な知見の共有やスケールメリットが得やすい
■課題点
・ 縦割り構造になりがちで、スピード感や柔軟性が失われやすい
・ ターゲットや施策目的との整合性が薄れることもある
マトリクス型
マトリクス型は、プロダクト軸と職能軸を掛け合わせた組織形態です。事業ごとのスピードと、機能ごとの専門性を両立させるために用いられます。
■特徴
・ 施策の実行力と戦略の一貫性をバランスよく保てる
・ 複雑な事業構造にも柔軟に対応可能
■課題点
・ 社内調整や意思決定のスピードが落ちやすい
・ 明確な責任分担がされていないと混乱が生じやすい
各組織タイプには向き不向きがあるため、企業の成長段階や目指すゴールに応じて、体制を見直しながら柔軟に設計していくことが求められます。
マーケティング組織図|企業規模・業種別の構成イメージ
マーケティング組織の構成は、企業の規模や業種、扱う商材の種類によって大きく異なります。
ここでは、よくある企業のタイプ別に、どのような組織図・役割分担が考えられるのかを紹介します。自社の現状と照らし合わせながら、体制設計の参考にしてみてください。
小規模企業(10〜30名規模)の組織イメージ
人員が限られる小規模企業では、1人が複数の業務を兼任するケースが一般的です。
■例:担当者1~2名体制の場合の構成
・ マーケティング責任者:戦略設計、施策全体の進行管理
・ 担当者A:Web広告、SNS投稿、簡易なレポート作成などを兼任
・ 必要に応じて外部制作会社やフリーランスと連携
この場合、すべてを自社で抱え込まず、一部をアウトソースすることでバランスをとるのが現実的です。
中小企業(30〜100名規模)の組織イメージ
ある程度のリソースが確保できる企業では、機能別に役割を分けることで効率性と成果を両立できます。
■例:3〜5名体制の場合の構成
・ マーケティングマネージャー:戦略設計、KPI管理、部門連携
・ Web広告担当:広告運用、ABテスト、レポート作成
・ コンテンツ担当:記事制作、ホワイトペーパー、LP制作
・ SNS担当:投稿計画、クリエイティブ管理、ユーザー対応
・ データ分析担当:GAやヒートマップを活用した改善提案
チーム体制にすることで、属人化を避けつつ、専門性を活かした施策が実行できます。
中堅〜大企業(100名以上)の組織イメージ
事業部やブランドが複数ある場合は、事業ごと×職能ごとのマトリクス型を導入するケースが多くなります。
■例:事業部横断型のマーケティング部門構成
・ ブランドAマーケ担当:ブランドごとの戦略設計・実行
・ 広告チーム:媒体選定、運用最適化、広告クリエイティブ
・ コンテンツチーム:企画・編集・ライティング・動画制作
・ デジタル戦略チーム:MA/CRM導入、リードナーチャリング
・ 分析チーム:BIツールによる定量分析と改善提案
このように大規模組織では、横串での知見共有やデータ連携の体制づくりが成果に直結します。
業種や商材の特性によっても最適な組織形態は異なりますが、共通して言えるのは「戦略から実行・改善までを一貫して推進できる構造」を意識することが成功の鍵だという点です。
【5つのステップ】マーケティング組織構築の進め方
マーケティング組織を整えることは、単に人を増やすことではありません。
自社のフェーズや目指す成果に合わせて、「誰が・何を・どう進めるのか」を明確にし、戦略と実行の流れが機能する仕組みをつくることが重要です。
ここでは、組織づくりをスムーズに進めるための5つのステップを紹介します。
1. 現状の課題整理と目的設定
まずは「なぜ今マーケティング組織が必要なのか」を明確にします。
・ 現状の集客や営業活動で感じている課題は何か?
・ どのような成果(KPI)をマーケティングで達成したいのか?
・ 誰が何に困っているのか?
このフェーズでは、経営層・営業部門・既存マーケ担当など、関係者との対話が特に重要です。
2. 顧客接点と業務フローの見える化
次に、現在のマーケティング業務や顧客との接点を洗い出します。
・ Webサイト、広告、SNS、展示会など、どこで顧客と接点を持っているか
・ 業務フローが属人化していないか、重複や抜け漏れがないか
業務内容や役割が不明瞭なまま体制を拡大してしまうと、成果が出にくくなるため注意が必要です。
3. 必要な役割とスキルの洗い出し
業務の全体像が整理できたら、そこに対して「どんな役割が必要か」を定義します。
・ 社内で補える役割はどこか?
・ 外部の力を借りるべき領域はどこか?
・ 将来的に内製化したい業務はあるか?
このプロセスで、採用すべき人材や外注・パートナー選定の方針も見えてきます。
4. チーム体制と評価設計の構築
体制をつくるうえでは、「成果をどう測るか」「誰がどこまで責任を持つか」も明確にする必要があります。
・ チーム編成(専門チーム型 or マルチロール型)
・ 役割分担とKPIの設定
・ レポートの頻度や報告ライン
定期的な進捗確認や、実行→改善を繰り返せる環境を整えることがポイントです。
5. 外部支援や段階的導入の検討
リソースやノウハウが不足している場合は、外部パートナーの活用も有効です。
・ 初期は部分的に外注し、徐々に内製化を目指す
・ 戦略設計だけを外部に委託し、実行は社内で担う
・ 専任のマーケ担当がいない企業は、伴走支援から始める
体制を一気に整えるのではなく、フェーズに応じて段階的に構築していく考え方が重要です。
このように、マーケティング組織は「人を集める」のではなく、「成果が出る体制を整える」ことが目的です。自社の状況を正しく見極めながら、柔軟に設計していきましょう。
マーケティング組織づくりについてよくある質問(FAQ)
マーケティング組織づくりを進めようとする際、企業からよく寄せられる疑問や不安をまとめました。初めての組織化を検討する方にも分かりやすいよう、実務視点でお答えします。
■Q1. マーケティング組織は何人規模から必要ですか?
明確な正解はありませんが、 業務の属人化や施策の停滞が見られ始めた時点 で、体制を整えるべきサインといえます。
1人の担当者が複数業務を兼任しており、改善が後回しになっている場合は、組織的な仕組みの構築が必要です。
■Q2. 営業との役割分担はどう考えればいいですか?
マーケティングは 見込み顧客の獲得と育成 、営業は 商談とクロージング を担うのが一般的です。
ただし、両者が連携しなければ成果は最大化しません。マーケティング組織を立ち上げる際は、営業との情報共有・KPIの連動を前提に体制を設計することが重要です。
■Q3. 中小企業でもマーケティング組織は必要ですか?
はい。むしろ中小企業ほど、 限られたリソースで効率的に成果を上げるための設計 が求められます。
必ずしも大規模な専任部隊をつくる必要はなく、少人数でのスタートや、外部支援の活用を組み合わせた運用も可能です。
■Q4. 組織を整えたくても、人もノウハウも足りません…
そういった場合は、 マーケティング支援会社を活用する選択肢 があります。
戦略の設計から施策の実行、改善までを一貫して支援してくれるパートナーに相談することで、社内にノウハウがなくても体制構築を進めることができます。
このように、マーケティング組織の構築には悩みがつきものですが、外部の力を借りながら少しずつ整えていくという進め方も十分に有効です。
まとめ|組織の限界を感じたら、マーケティング戦略の設計から見直しませんか?
マーケティング組織を構築・強化するには、「人を配置する」だけでは不十分です。
重要なのは、 顧客視点で一貫した戦略を描き、それを着実に実行・改善できる体制を整えること 。しかし、現場では以下のような悩みを抱えている企業が少なくありません。
・ 各部門がバラバラに動いていて、統一感がない
・ マーケティングが施策ベースで止まり、戦略がない
・ 社内にノウハウがなく、意思決定の判断軸も定まらない
このような課題を抱える企業には、 戦略設計から施策実行までを一貫して支援する外部パートナー の存在が効果的です。
弊社Oz link(株式会社オズ・リンク)は、経営とマーケティングをつなぐ視点で、「誰に・何を・どう届けるか(WHO・WHAT・HOW)」を軸に戦略を設計し、それを具体的な施策へと落とし込み、実行・改善まで支援する マーケティング・コンサルティング会社 です。
「社内の体制だけではマーケティングの成果が出ない」と感じている方こそ、戦略を一度立ち返って整理するタイミングかもしれません。
✅ Oz linkの無料相談受付中
・ マーケティングの取り組みがバラバラになっている
・ 施策の方向性に自信が持てない
・ 経営とマーケティングがかみ合っていない
このような課題感をお持ちの方は、 Oz linkの無料相談 をご活用ください。
課題の棚卸しから、最適な戦略の方向性まで一緒に整理し、現実的な改善ステップをご提案します。
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『マーケティングと経営戦略の違いは?|一貫したコンサルティングで企業成長を支援する方法』
『【完全ガイド】マーケティング戦略の立案方法|フレームワークと4ステップ設計術』
『マーケティング方法を戦略から施策まで体系的に解説|成果を出すための実践プロセスとは?』
『飲食店マーケティング戦略ガイド|集客・ブランディング・SNS活用まで実践事例で解説』
『マーケティングの4Pとは?意味・4Cとの違い・事例・活用方までわかりやすく解説』
About meこの記事を書いた人
Oz link 編集部
顧客起点の科学的マーケティングを一気通貫で支援し、企業の持続的な成長を実現するマーケティングコンサルティング・採用コンサルティング企業「株式会社Oz link(オズ・リンク)」。ブランディングやマーケティング全般、プロモーションや営業活動、人材採用/インターンシップ設計における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
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