Oz link

knowledge ナレッジ

想起集合(エボークトセット)とは?意味・重要性・戦略をわかりやすく解説

想起集合(エボークトセット)とは?意味・重要性・戦略をわかりやすく解説

現代のマーケティングでは、ただ商品を知ってもらうだけでは不十分です。実際に消費者の「選択肢」として思い出されるかどうかが、購買の可否を左右します。そこで重要になるのが「想起集合(エボークトセット)」という考え方です。

本記事では、想起集合の定義や第一想起との違い、選ばれるブランドになるための戦略的アプローチまでを、マーケティングの実務視点でわかりやすく解説します。

さらに、弊社Oz linkの実践的な支援内容も交えて、「想起されるブランド設計」のヒントをお届けします。

【ブランディング・マーケティングに関するご相談・お問い合わせはこちら】

想起集合(エボークトセット)とは何か?

マーケティングにおいて「想起集合(エボークトセット)」とは、ある商品カテゴリに対して、消費者の頭の中で思い浮かぶブランドや商品群のことを指します 。たとえば「コンビニといえば?」と聞かれて思い出す数社が、あなたの中の想起集合です 。

重要なのは、この集合に入っていなければ、どんなに商品力があっても“選ばれる可能性すらない” という点です 。つまり、選択されるための最低条件が「想起されること」なのです 。

ここではまず、想起集合の定義や、他の類似概念との違いを明らかにしていきます。

定義と概念

想起集合」とは、あるニーズや購買場面において、消費者が頭の中で自然に思い出す候補の集合を意味します 。英語では「Evoked Set(エボークトセット)」と呼ばれます 。

これに対して、知ってはいるけど思い出されなかったものは「認知集合(Awareness Set)」に留まり、明確に候補から外されているものは「拒否集合(Inept Set)」として扱われます 。

マーケティングにおける重要性

想起集合に入っているかどうかは、購買検討の土俵に立てるかどうかに直結します 。比較対象にすらならないブランドは、競合以前の問題です

また、想起集合に入っているブランドは、検討率や購入率が高くなる傾向にあります 。マーケティング活動の目的が「購入してもらうこと」である以上、「思い出されること」は避けて通れないステップです 。

認知集合・想起集合・選択集合の違い

用語 意味
認知集合 名前を知っているすべてのブランドの集合
想起集合 特定の場面で思い出されるブランドの集合(ここに入らないと検討されない)
選択集合 想起集合の中でも、実際に購入検討されるブランドの集合

このように、【認知 → 想起 → 選択】 というプロセスの中で、ブランドは徐々にふるいにかけられます 。認知度を高めるだけではなく、想起集合に入るための設計が必要です 。

■あわせて読む
『マーケティングとは?初心者にもわかる意味・戦略の立て方・手法を解説』
『マーケティングプロセスを理解すれば売れる仕組みがつくれる|全体設計ガイド』

なぜ「想起集合」に入ることが重要なのか?

なぜ「想起集合」に入ることが重要なのか?

消費者が商品やサービスを選ぶとき、まずは自分の記憶の中からいくつかの選択肢を思い浮かべます 。この時点で想起されなかったブランドは、どれだけ優れていても「検討の対象にすらならない」のです 。

ここでは、「想起集合に入ること」がなぜこれほどまでに重要なのかを、購買行動の心理やマーケティング戦略の視点から解説します。

選択肢に入らないと検討すらされない

たとえば「歯磨き粉を買おう」と思ったとき、多くの人は店頭で一から全商品を比較するのではなく、自分の中で思い浮かぶ数ブランドから選びます 。このような候補群が「想起集合」です 。

つまり、消費者の頭の中に存在しない=勝負の舞台にも上がれないということ。これこそが、想起集合に入る重要性を物語っています 。

第一想起との関係と違い

想起集合に複数のブランドが入っている中で、「最初に思い出されるブランド」は「第一想起(Top of Mind)」と呼ばれます 。これは記憶の優先順位を意味し、もっとも選ばれやすいポジションでもあります 。

想起集合に入ることが「土俵に立つこと」なら、第一想起になることは「初動の優位性を握ること」です 。価格競争や条件比較に入る前の“印象段階”で勝てるのが第一想起です 。

■あわせて読む
第一想起とは?ブランド・マーケ戦略における重要性と活用方法を徹底解説

選ばれる要因=記憶×文脈

想起集合に入るかどうかは、単なる知名度ではありません 。記憶の中でそのブランドが「どの場面」で思い出されるか=文脈との一致が重要です。

たとえば「自分へのご褒美スイーツ」として思い出すブランドと、「手土産に最適なスイーツ」として思い出すブランドは異なる可能性があります 。文脈に応じた「想起の設計」が、ブランド戦略のカギとなります 。

■あわせて読む
『ブランディング戦略とは?市場調査から実行までのステップを解説』
『ブランディング戦略のフレームワーク|成功するブランドのための必須ツール』
『ブランディングとは何をすること?意味・目的・やり方・成功事例まで徹底解説』

想起集合に入るための戦略的アプローチ

想起集合に入るための戦略的アプローチ

想起集合に入るには、ただ広告を打つだけでは不十分です 。消費者の記憶に残り、なおかつ特定の購買シーンで思い出されるように設計されたブランド体験が必要です。

ここでは、記憶に残るブランド設計と、文脈に沿って想起されるための3つの具体的アプローチをご紹介します。

ブランドの「記号性」と「文脈性」の強化

まずは、ブランドを記憶に刻む「記号性(象徴性)」が不可欠です 。たとえば、ロゴ・色・キャッチコピー・パッケージなど、繰り返し接触される要素が一貫していると、記憶の中でブランドが定着しやすくなります 。

さらに重要なのが「文脈性」。消費者がどんな場面でそのブランドを必要とするかを深く理解し、その文脈に合った接触を設計することで、「○○ならあのブランド」という想起を誘導できます。

タッチポイントごとの印象設計

想起されるためには、カスタマージャーニーのフェーズごとに接点(タッチポイント)を意図的に設計することが重要です。

■認知フェーズ:SNS広告・インフルエンサー活用で「第一印象」を作る
■比較検討フェーズ:SEO記事・レビューサイトで「信頼感」を強化
■購入・利用フェーズ:サービス体験やアフターフォローで「再想起」のきっかけをつくる

このように、一貫した印象体験を積み重ねることが、想起集合への定着を促進します。

■あわせて読む
『カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?ブランドが“想起される仕組み”をつくるマーケティング戦略を解説』
『ブランディングとマーケティングの違いとは?効果的な統合戦略で成功する方法』
『集客に効く広告とは?費用対効果を高める戦略と施策を徹底解説』
『Web広告の成果を最大化するコンサル会社とは?選び方と依頼のメリットを徹底解説』

「第一想起」を狙う場合の差別化設計

想起集合に入るだけでなく、その中でも「最初に思い出される存在(第一想起)」になるためには、明確な差別化ポイントが必要です。

たとえば、以下のような工夫が挙げられます 。

他社にない強みや実績を明確に伝える
誰にでも伝わるわかりやすいメッセージを設計する
ブランドの世界観やトーンを統一し、印象のブレをなくす

第一想起を狙うためには、記憶の中で“唯一性”を持たせる戦略が求められます。

■あわせて読む
『ブランドコンセプトとは?企業成長を支える最も重要な要素を徹底解説』

エボークトセット調査とは

「自社ブランドが想起集合に入っているのか」を知るには、エボークトセット調査を行うのが有効です 。これは、消費者が特定のカテゴリにおいて自然に思い浮かべるブランドを尋ねる調査手法です 。

たとえば、以下のようなオープンクエスチョンが代表的です 。

「○○といえば思い浮かぶブランドを3つ挙げてください」
「□□な商品と聞いて、すぐに思い出す企業はありますか?」

この調査によって、以下の点が明らかになります 。

■自社がどの程度「想起集合」に入っているか
■どの競合ブランドと比較されているか
■想起されるシーンや文脈にどんな特徴があるか

また、定量調査(回答数の割合)と定性調査(理由や印象)を組み合わせることで、ブランドの立ち位置やポジショニング戦略の見直しにも活用できます。

マーケティング施策の前提として、このような調査を定期的に実施することで、「知られている」と「思い出されている」のギャップを可視化し、次の打ち手に活かすことが可能です。

Oz link流|顧客に「思い出されるブランド」になる方法

Oz linkでは、単なる広告露出やデザイン改善ではなく、「誰に、どんな文脈で、どのように想起されるか」を起点としたブランド設計を行っています。これは、マーケティング戦略の根幹に「記憶と選択の関係性」を組み込んでいるからです。

ここでは、Oz linkが実際のプロジェクトで活用している視点やアプローチをご紹介します。

ジャーニー設計と想起トリガーの可視化

Oz linkでは、カスタマージャーニーの設計時に「どのフェーズで想起されるべきか」を明確にします 。そして、その想起を引き起こすトリガー(記憶のスイッチ)を設計に組み込みます。

たとえば「忙しい朝に」「贈り物を探すときに」など、文脈に合った体験や言語を設計することで、特定のシーンで自然に思い出されるブランド体験が実現できます。

Who/What/RTBによる記憶に残るメッセージ設計

Oz linkではブランドの訴求軸を以下の構造で整理します。

■Who:誰に届けたいのか
■What:何を提供するのか
■RTB(Reason to Believe):なぜそれが信頼できるのか

このフレームに基づき、記憶に残りやすく、選ばれやすいメッセージ設計を支援しています 。複雑な訴求を避け、シンプルでかつ印象に残る言語化がポイントです。

体験×構造で「想起→選択→継続」につなげる

ブランドは、単発的な広告よりも一貫した体験によって想起されることが多くあります 。弊社では、ロゴ・コンテンツ・接客・プロモーションなど全体設計を通じた体験の構造化を支援しています。

これにより、以下のような循環するブランド体験が生まれます。

思い出される」→「選ばれる」→「また思い出す

このブランド体験により、LTV(顧客生涯価値)にもつながっていきます。

■あわせて読む
『LTVとは?マーケティングにおける意味と活用方法』

まとめ|想起集合を制する者が「選ばれるブランド」になる

想起集合を制する者が「選ばれるブランド」になる

想起集合(エボークトセット)とは、「知っているブランド」の中から、実際に「思い出されるブランド」へと進化するための壁です 。そして、その壁を超えることができなければ、どれほど素晴らしい商品・サービスでも選ばれることはありません 。

認知から想起、そして選択へとつながるブランド体験をデザインするには、記憶に残る一貫した設計文脈に応じた接触ポイントの設計が不可欠です 。また、その状態を測定・検証するための「エボークトセット調査」も重要な手段となります 。

Oz linkでは、誰に、どのように、何を想起してもらいたいのかを起点としたブランド戦略設計を支援しています 。思い出されるブランド、選ばれるブランドになるための土台づくりに課題を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください 。

■あわせて読む
『ブランディングを高めるには?想起され選ばれるブランドを築く4つの戦略ステップ』
『カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?ブランドが“想起される仕組み”をつくるマーケティング戦略を解説』
『ブランディングの意味とは?成功するブランド戦略の立ち上げ方と重要性』
『ブランディングとマーケティングの違いとは?効果的な統合戦略で成功する方法』
『自社ブランドを成功に導くには?仕組みと構築ステップ・成功事例を紹介』
『【2025年版】ブランディング会社ならOz link|競争優位性を確立するための最適支援』
『ブランドアイデンティティとは?意味・要素・設計方法をわかりやすく解説』

About me
この記事を書いた人

Oz link

Oz link 編集部

デジタル戦略を中心にクライアントを成功へ導くマーケティングコンサルティングエージェンシー株式会社Oz link(オズ・リンク)。顧客起点の科学的マーケティングを一気通貫で支援することで、企業の持続的な成長を実現します。ブランディングやマーケティング全般、プロモーションや営業活動における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

> ご相談・お問い合わせはこちら
> Oz link Group執行役員CMOのX
© 2025 Oz link Inc.