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ブランドアイデンティティとは?意味・要素・設計方法をわかりやすく解説

ブランドアイデンティティとは?意味・要素・設計方法をわかりやすく解説

競合がひしめく現代市場において、商品やサービスの機能的な差別化はますます難しくなっています。そんな中、顧客から「選ばれる理由」として注目されているのが、ブランドアイデンティティの存在です。

ブランドアイデンティティは、単なるロゴや色使いだけではありません。企業が何者で、誰に、どんな価値を届ける存在なのかを明確にし、それを言語・ビジュアル・体験すべてに一貫して表現するものです。

そこで本記事では、ブランドアイデンティティの定義や構成要素、具体的な設計ステップまでを網羅的に解説。後半では、弊社Oz linkが実践する「顧客起点」のブランド構築手法にも触れながら、実務で活かせるヒントをお届けします。

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ブランドアイデンティティとは何か?

ブランドアイデンティティとは、ブランドが「何者であるか」を内外に明確に伝えるための設計思想です。企業の理念や価値観、提供する体験や世界観を言語・視覚・行動のすべてに落とし込み、一貫性をもって顧客に伝えることで、「このブランドだから選ぶ」という理由を築いていきます。

単なるデザインの統一ではなく、ブランドの存在意義を、生活者の視点で一貫して伝えられるかどうかが本質です。

定義と目的:ブランドの「らしさ」を可視化する

ブランドアイデンティティの目的は、企業の内側にある価値や想いを、顧客に伝わるかたちで言語化・可視化することです。これは、「らしさ」の設計ともいえます。

たとえば、「親しみやすさ」や「専門性」「安心感」など、言葉にすると抽象的な価値観を、ロゴや色、トーン、接客、商品体験などに落とし込むことで、顧客が無意識に感じ取れるようになります。

その結果、「このブランドらしい」「なんとなく好き」といった感覚的な共感を、論理的な設計に基づいて再現可能にすることが可能になります。

ブランドイメージ・ロゴ・トーンとの違い

ブランドアイデンティティと混同されやすい概念に「ブランドイメージ」「ロゴ」「トーン&マナー」などがありますが、それらはあくまでブランドアイデンティティの一部表現にすぎません

■ブランドイメージ:顧客の頭の中にある印象(受け手の感覚)
■ブランドアイデンティティ:企業が能動的に設計・発信する価値観(発信者の意図)
■ロゴ・トーンなど:その意図を体現する手段(視覚・言語・表現)

つまり、「誰に、何を、どう伝えるか」という意図設計がなければ、ロゴやスローガンはただの飾りになってしまうのです。

なぜ今、ブランドアイデンティティが重要視されるのか?

現代は、機能や価格だけでは選ばれにくい時代です。商品やサービスが「コモディティ化」している今、選ばれる理由の大半は“意味”や“共感”といった無形の要素にあります。

だからこそ、ブランドの中核にある想い・哲学・世界観を明確にし、それを一貫して発信する「アイデンティティ」が競争優位性を生む鍵となるのです。

SNSやレビューが拡散されやすい現代では、「この会社らしいか」「らしくないか」が評価軸になる場面も増えています。ブランドアイデンティティの設計は、まさに「言語化できる強さ」を育てるための出発点といえるでしょう。

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ブランドアイデンティティを構成する主な要素

ブランドアイデンティティを構成する主な要素

ブランドアイデンティティは、単なるビジュアル設計ではありません。企業の理念や存在理由を軸に、「誰に・何を・どう伝えるか」を構造的に設計する複合的なフレームワークです。

以下では、Oz linkの支援スタイルにも通じる実務的な視点から、構成要素を整理します。

ビジョン・ミッション・バリューとの関係性

ブランドアイデンティティの土台となるのが、ビジョン(目指す未来)、ミッション(存在意義)、バリュー(価値観)です。これらは企業の内面=“らしさ”を決定づける源泉であり、ブランドとしての一貫性や行動指針を支える指標です。

たとえば、「どんな社会課題を解決したいのか」「何を大切にして意思決定するのか」といった軸がブレていると、言葉・デザイン・社員のふるまいまでチグハグになり、顧客からの共感を得ることはできません

Oz linkでは、ブランドアイデンティティは経営の延長線上にあるものと捉え、戦略とクリエイティブを一気通貫で設計します。

ロゴ・カラー・トーン&マナー(TPO設計)

ブランドアイデンティティを顧客に伝えるためには、視覚的・言語的な一貫性が不可欠です。そこで設計されるのが、ロゴやカラー、トーン&マナー(Tone and Manner)といった要素です。

これらは単なる装飾ではなく、ビジョンや価値観を直感的に伝えるための記号です。たとえば、「誠実さ」「安心感」を伝えたいブランドが、攻撃的な色調や口調を使ってしまうと、それだけで違和感を覚えられてしまいます。

重要なのは、「誰にどんな場面で使われるか(TPO)」を想定し、あらゆるチャネルで一貫して“らしさ”を守る設計にすることです。

言語化される「約束」と非言語で伝わる「世界観」

ブランドアイデンティティには、企業としての「約束(パーパス)」と、それが醸し出す「世界観」の両輪が必要です。前者は「○○な体験を必ず届けます」といった明文化、後者は「このブランドに触れると、なんとなく心地いい」といった感覚的な印象です。

たとえば、Appleの「創造性を解放する」「直感的で美しいデザイン」というメッセージは、コピーだけでなくUI/UX・店舗・スタッフのふるまいにも統一されており、まさに世界観として成立しています。

Oz linkのブランド支援でも、WHO/WHAT/RTBを起点に、価値の言語化と文脈に応じた体験設計を両立させることで、ブランドアイデンティティを立体的に構築します。

ブランドアイデンティティの設計ステップ

ブランドアイデンティティを確立するためには、感覚的な発想だけでなく、論理的かつ段階的な設計プロセスが欠かせません。

Oz linkでは、戦略から施策へのブレークダウンを前提に、以下の3ステップで構築を支援しています。

STEP1:顧客インサイト・市場の深堀り

まず重要なのが、ブランド側の内発的な想いだけで設計を始めないことです。ブランドアイデンティティはあくまで「顧客との接点」で機能するものであり、市場の構造や顧客の価値観・行動特性を深く理解することが前提となります。

Oz linkでは、ペルソナ設計やユーザーインタビュー、市場構造分析などを通じて、「どの変数(文脈)でブランドを思い出すか」を見極めるところから着手します。これにより、単なる思い込みではなく、根拠のある差別化軸が明確になります。

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STEP2:コアメッセージ・世界観の明文化

インサイトが明らかになったら、次はブランドの本質的な提供価値(WHO/WHAT/RTB)を言語化します。これは「我々は何者で、誰に、何を届け、なぜ信頼されるのか」を1枚に集約するプロセスです。

ここでは、ビジョン・ミッションに加えて、ブランドの約束(Promise)や感情価値(Emotional Benefit)までを含めた、ブランドの人格そのものを設計します。

さらに、これらを言語だけでなく、ストーリーやキービジュアル、象徴的なワードなどで世界観として伝える工夫が求められます。

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STEP3:タッチポイントでの一貫性設計(ジャーニー連動)

ブランドアイデンティティは、設計して終わりではありません。顧客のジャーニー上の接点すべてで、同じ体験価値を届けられるかが最も重要です。

たとえば、SNSの投稿トーンと採用ページの言語に乖離があれば、「この会社、結局何が言いたいの?」という違和感につながります。

Oz linkでは、カスタマージャーニーに基づき、認知・比較・体験・継続の各段階でブランドらしさが貫かれる設計を行います。

これにより、偶発的な共感ではなく、設計された信頼形成が可能となり、LTVやブランド資産の積み上げへとつながります。

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よくあるブランドアイデンティティ設計の落とし穴

よくあるブランドアイデンティティ設計の落とし穴

ブランドアイデンティティを構築する過程では、表面的なアウトプットにとらわれて本質を見失うケースが少なくありません。

ここでは、企業が陥りがちな3つの代表的な失敗パターンを解説します。

単なるロゴ設計・スローガン制作で終わってしまう

「ブランド=ロゴやキャッチコピー」と認識してしまい、ビジュアルや言葉だけを整えて満足してしまうケースは多く見られます。もちろんそれらは重要な要素ですが、それを支える思想や戦略が欠如していると、ただの装飾にすぎません。

重要なのは、まずWHO・WHAT・RTBという構造から言語設計を行い、それを支える論理的背景と文脈を明確化したうえで、ビジュアルに落とし込むプロセスです。

社内浸透・共通言語化がされていない

どれだけ優れたブランドアイデンティティを設計しても、社内メンバーがその意味や意図を理解していなければ、実行・表現の場面でブレが生まれます。特に、営業資料や採用面接、SNS運用など、現場における情報発信で統一性が崩れやすくなります。

私たちOz linkの支援では、ブランドの共通言語化やインターナルブランディング(社内浸透)までを含めた戦略設計を実施しています。社内外の接点において、誰が語っても「その会社らしさ」が滲み出る状態を目指します。

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顧客視点よりも企業都合のアウトプットに偏る

ブランドアイデンティティ設計において、自社の理念や歴史、思いを前面に出しすぎると、顧客にとって意味のある内容が見えなくなるという落とし穴もあります。

特に多いのが、「私たちは100年続く企業です」「高品質を追求しています」など、顧客にとってのベネフィットに変換されていない表現です。

弊社では、「顧客が選ぶ瞬間」における文脈と接点を起点に、主観的な思いを客観的な価値に変換するプロセスを重視しています。

Oz link流|顧客起点でブランドアイデンティティを構築する方法

Oz linkでは、ブランドアイデンティティの設計を単なる制作業務ではなく、マーケティング戦略の一環として捉えています。特に重視するのは、企業側の主観だけでなく、「顧客がどんな文脈でそのブランドを思い出すか」から逆算して設計することです。

以下では、弊社が実務で取り入れている3つの独自アプローチを紹介します。

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Who/What/RTB設計を軸に据えたブランド構造

ブランドアイデンティティの核には、「誰に(Who)」「何を(What)」「なぜ信じられるのか(RTB:Reason To Believe)」という構造的な問いが存在します。

Oz linkではこの3軸を明文化し、そこからキーメッセージやトンマナ、ビジュアルの一貫性を設計します。これにより、言語やデザインがブレることなく、戦略と表現が直結した“使えるアイデンティティ”が実現します。

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カスタマージャーニー上での「想起・選ばれる理由」の一貫性

顧客がブランドを知り、比較し、選び、継続的に利用するまでの一連のプロセスにおいて、「なぜ思い出されたのか」「なぜ選ばれたのか」が説明できる状態こそが、ブランドアイデンティティの完成形です。

Oz linkでは、カスタマージャーニーに基づいたタッチポイント分析を行い、それぞれの接点で「ブランドのらしさ」が正しく伝わるかを検証。広告・SNS・営業資料・採用ページまで、顧客体験の設計とブランド表現を統合します。

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第一想起とLTVにつながるブランド体験設計

私たちOz linkが目指すのは、「記憶に残るブランド」です。第一想起(First Recall)されるかどうかは、ブランドアイデンティティの明確さと一貫性に大きく依存します。

そのため、弊社ではブランドの差別化要素と体験価値を連動させたLTV設計(顧客生涯価値)を重視しています。これは、単発の好印象ではなく、長期的な関係性を育む“選ばれ続けるブランド”の設計を意味します。

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『LTVとは?マーケティングにおける意味と活用方法』

まとめ|ブランドアイデンティティは「選ばれる理由」を構造化すること

ブランドアイデンティティは「選ばれる理由」を構造化すること

ブランドアイデンティティは、単にかっこいいロゴや印象的なスローガンをつくる活動ではありません。自社が「誰に」「何を」「なぜ届けるのか」という存在意義を明確にし、それをあらゆる顧客接点において一貫して伝えることこそが、本質的なブランド設計です。

現代の顧客は、商品やサービスのスペック以上に、「このブランドらしいか」「信頼できるか」といった感覚的な判断軸で選択をしています。その判断基準に応えるためには、内側から外側へ、経営・戦略・コミュニケーションのすべてがつながっている状態=アイデンティティの一貫性が不可欠です。

Oz linkでは、ブランドアイデンティティの設計を通じて、「選ばれる理由」の言語化と、それに基づく体験設計を支援しています単なる制作物ではなく、顧客との長期的な関係性づくりを見据えた“戦略的ブランディング”をご希望の方は、ぜひ一度ご相談ください。

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デジタル戦略を中心にクライアントを成功へ導くマーケティングコンサルティングエージェンシー株式会社Oz link(オズ・リンク)。顧客起点の科学的マーケティングを一気通貫で支援することで、企業の持続的な成長を実現します。ブランディングやマーケティング全般、プロモーションや営業活動における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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