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ブランディング施策の費用対効果とは?効果測定の方法と改善ポイントを解説

ブランディング施策の費用対効果とは?

ブランディング施策に取り組む際、多くの企業が直面するのが「費用対効果が見えづらい」という課題です。広告や販促と異なり、ブランディングは短期的な成果が数値化しにくく、経営層や現場との間で投資判断のずれが生まれやすい領域でもあります。

しかし、正しく戦略を設計し、適切な指標をもとに評価・改善を行えば、ブランディングは中長期で確実に利益へ貢献する「投資」となります。

そこで本記事では、ブランディングの費用構造と効果の指標を整理しながら、費用対効果をどう測定し改善するかを解説します。

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Contents

ブランディングにおける費用対効果とは

ブランディングの費用対効果とは、投じたコストに対してどのような成果が得られたのかを評価する考え方です。

これは単発的な反応ではなく、中長期でのブランド価値や顧客の行動変容を含めて判断することが重要です。

定義:ブランディングの「費用」と「効果」とは何を指すか

「費用」には、ブランド戦略の設計、ロゴやトンマナ開発、広告やSNS投稿、プロモーション設計などの活動コストが含まれます。「効果」は、認知度・指名検索数・UGC・LTV向上など多角的に現れます。

数値化しにくい要素も多いため、プロジェクトの初期段階から「どの指標で成果を測るか」を明確にする必要があるのです。

なぜ費用対効果を可視化する必要があるのか

ブランディングには中長期的な視点での継続投資が求められます。そのため、費用対効果を明示できなければ経営判断や予算確保が困難になりかねません。

また、ブランディングの成果を可視化することで、社内の理解を得やすくなり、施策実行のスピードや質にも好影響を与えることが可能です。

マーケティング施策と比較した費用対効果の特徴

広告や販促施策は短期でのコンバージョンやクリック率といった明確な成果指標がありますが、ブランディングは「信頼」「好感」「記憶」といった無形の価値を積み上げていく点が異なります。

このような特性のため、ブランディングの費用対効果は「長期の視野」と「複合的な評価軸」で捉える必要があります。

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ブランディングの費用構造

ブランディングの費用構造

ブランディングにかかる費用は、一過性ではなく初期構築から継続的運用までの総合的な投資です。

ここでは主な費用構成要素をフェーズ別に解説します。

初期構築にかかる費用(CI/VI、ブランド戦略、ペルソナ設計など)

初期段階では、ブランドの核をつくるためのコンセプト設計やビジュアルアイデンティティ(VI)の構築が中心となります。

具体的には以下のような項目が含まれます。

・ ブランドコンセプト・ポジショニング設計
・ ターゲット分析・ペルソナ設定
・ ロゴ/カラースキーム/タイポグラフィ設計
・ ブランドガイドライン制作

これらは外注した場合、50万円〜500万円以上の予算がかかるケースもあり、企業の規模やブランドの用途範囲によって大きく異なります。

継続運用にかかる費用(広告、SNS、LP、キャンペーン等)

ブランド構築後は、一貫性あるメッセージを継続的に発信し、顧客との接点を広げていく必要があります。

具体的な運用コストには以下が該当します。

・ Web広告(リスティング、SNS広告など)
・ SNSコンテンツ制作・運用
・ LPやWebサイトの定期更新
・ 店舗販促ツールやノベルティ制作
・ ブランドキャンペーンやPR施策

中規模なBtoCブランドであれば、月額50万円〜300万円程度を継続投資するケースも少なくありません。

BtoB・BtoC・D2Cなど業種別で見る費用相場

ブランディングの費用は業種や事業モデルによって大きく異なります

以下は目安です。

 ・ BtoB企業:ブランド戦略の比重が高く、CI/VI開発+営業資料や展示会装飾費などを含めて初年度100万〜500万円規模
 ・ BtoC企業:接点の多様性から広告・SNSなど運用費が大きくなりやすく、年間で1,000万円超の投資も一般的。
 ・ D2Cブランド:立ち上げ初期からクリエイティブ重視で、ブランドムービー制作やインフルエンサー施策を含めて300万〜1,000万円規模

これらは一例であり、目的とフェーズに応じて最適化することが重要です。

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ブランディングの効果とは?主な評価指標

ブランディングの効果とは?主な評価指標

ブランディングの成果は売上のように即時に現れるわけではなく、短期・中長期・定性の3つの視点で捉えることが求められます。

ここでは代表的な評価指標を分類しながら紹介します。

短期:広告反応率・指名検索・SNSエンゲージメント

ブランディング施策が短期的に生む成果としては、以下のような数値が挙げられます。

・ 広告のCTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)
・ ブランド名による指名検索ボリュームの増加
・ SNS投稿のリーチ、いいね数、保存数、シェア数などのエンゲージメント

これらはブランディングメッセージがどれだけ市場に届いているかを可視化する一次指標として有効です。

中長期:LTV(顧客生涯価値)・再購買率・離脱率の改善

中長期的な評価では、顧客のロイヤリティの変化が重要視されます。

・ LTV(Life Time Value):ブランディングによる継続利用への影響
・ リピート購入率の推移(初回からの再購入率)
・ 解約率・離脱率の改善(定期購入やサブスクリプションの場合)

ブランドに対する信頼や好意が形成されていれば、単価上昇や継続率改善といった間接効果も期待できます。

認知・信頼・想起などの定性データも重要視すべき理由

定性データは数値で表しにくい反面、ブランディングの本質に最も近い効果を示します。

・ 「このブランドを信頼できる」といった印象形成
・ エボークドセット(想起集合)内に入っているか
・ 顧客が語るブランドの印象やストーリー

ブランド調査やインタビューを通じたこうした情報は、長期的な競争優位を築く上で不可欠な示唆をもたらします。

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ブランディングの費用対効果を測定する方法

ブランディングの効果は目に見えづらい側面も多いため、定量と定性を組み合わせた複合的な測定が必要です。

ここでは代表的な手法を紹介します。

ブランドリフト調査やNPS(ネット・プロモーター・スコア)

定性効果を数値化する手段としては、以下のような調査が有効です。

 ・ ブランドリフト調査:広告接触前後の認知・好感度の変化を測定
 ・ NPS:「このブランドを他者に勧めたいか?」という質問に対する回答傾向を点数化

これらは、信頼・好意といった感情の変化を数値で追えるため、社内説明にも使いやすい指標となります。
NPS

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Googleアナリティクスなどの定量ツールの活用

Googleアナリティクス(GA)やGoogle Search Console(SC)、SNSのインサイト機能などを使えば、定量的にブランド効果の波及を確認できます。

・ 指名検索数の推移
・ 直帰率・滞在時間などのサイト上行動
・ SNSからの流入経路分析

短期施策との連動状況も把握でき、ブランディング施策全体の改善点の可視化にも活用できます。

定性的データを数値で捉える考え方

「記憶に残るブランドか」「誰かに語りたくなるブランドか」といった感情的な反応を数値化し、ブランドの評価指標とする手法もまた、一般的になりつつあります。

・ 「共感」「信頼」「革新性」などの要素を定義し、調査項目ごとにスコア化
・ 自社と競合の比較によって、ブランドポジショニングを可視化

このように、定性的な情報を構造化し、定量的に把握することは、ブランディング施策の費用対効果を見える化するうえで欠かせないと言えます。

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ブランディング施策の費用対効果を高める改善ポイント

ブランディング施策の費用対効果を高める改善ポイント

ブランディングは施策を打ちっぱなしにせず、戦略・運用・体制を改善し続けることで成果を最大化できます。

以下では主な改善アプローチを紹介します。

顧客理解に基づいたコンセプトの見直し

ブランドの「伝えたいこと」が顧客に届いていないと感じる場合、顧客インサイトとのズレがある可能性があります。

・ 定期的なユーザーインタビューで、価値の再確認
・ ペルソナやカスタマージャーニーの更新
・ 情緒的ベネフィット(共感・信頼)の言語化

Who・What・RTBを見直すことで、ブランドコンセプトの解像度が上がり、メッセージの浸透率が向上します。

株式会社Oz link「マーケティング戦略と施策の立案」

※マーケティングコンサルタント株式会社Oz link「マーケティング戦略と施策の立案」より 

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RTB(Reason to Believe)とは?マーケティングで信頼を得るための必須要素を解説

【事例紹介】ブランド投資によって成果を上げた企業例

以下では、弊社Oz link(株式会社オズ・リンク)が支援し、実際にブランディングへ投資を行い、数値的・定性的な成果を得た企業の実例を紹介します。

D2Cスキンケア「_NEUR」:共感設計でUGC2万件、LTV向上

D2Cコスメブランド「_NEUR」

[_NEUR] ブランド戦略構築

D2C高価格帯コスメブランド「_NEUR」は、ブランドのコンセプトを“共感ベース”で再定義し、SNSでの拡散力を活用したブランディングに成功しました。

・ 「情緒×機能性×SNS映え」という構造でクリエイティブ設計
・ SNS投稿用のハッシュタグを軸に、3年間でUGC2万件超を獲得
・ ブランド想起と信頼構築により、LTVが前年比で150%に改善

高価格帯D2Cでも、ブランドに共感・信頼を持たせる設計が機能する好例です。

地方酒蔵「禅利」:ブランド再設計により単価2倍・売上増加

事例①:日本酒ブランド「禅利」のブランディング再構築

[禅利] ブランド戦略構築

京都の老舗酒蔵と立ち上げた「禅利」ブランドは、富裕層向けの高付加価値ブランドとして再設計され、短期・中長期の両面で成果を実現しました。

・ 高価格帯を正当化するためのブランドコンセプトと物語設計
・ ロゴ・ボトル・梱包・Web全体で世界観を統一
・ Makuakeで売上目標1019%を達成し、ミシュラン掲載店にも採用

「伝統×革新」のポジションを明確にし、第一想起のブランドとしての地位を確立しました。

チャネルごとのKPI設計と一貫性の担保

施策の打ち手が増えるほど、ブランドの一貫性が崩れやすくなります。各チャネルにおいてもブランドトーンやKPI設計を統一しましょう。

・ SNS運用では感情反応(保存・コメント)をKPIに
・ LPでは離脱率やスクロール率をチェック
・ 広告では指名検索との連動を確認

一貫した評価軸を持つことで、チャネル間の効果比較や改善がしやすくなります。

社内理解・体制構築の工夫と運用の最適化

ブランドは社外だけでなく、社内にも浸透して初めて効果を発揮します。特に運用段階での体制づくりは重要です。

・ ブランドガイドラインを活用した教育
・ 定例レビュー会の実施によるナレッジ共有
・ 目的と成果の見える化で社内合意形成を促進

社内の共通認識があることで、個人の解釈によるブレを防ぎ、ブランドの統一感が保たれます

まとめ|ブランディングは「投資対効果」で見る時代に

ブランディングは「投資対効果」で見る時代に

かつて「見えにくい」「効果が曖昧」とされたブランディングは、今やマーケティングの中心的な投資領域へと進化しています。広告施策との違いを理解し、短期・中長期・定性の3つの評価軸をもとに費用対効果を捉える視点が求められているのです。

そして効果を最大化するには、顧客理解を基盤にしたコンセプト設計やチャネルごとの一貫したKPI設計、そして社内体制の整備が不可欠。施策単体でROIを見るのではなく、「ブランド」という資産をどう育てていくかという視座が重要なのです。

弊社Oz link(株式会社オズ・リンク)では、戦略設計から施策実行、効果測定、改善までを一気通貫で支援しています。ブランディングに関するご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。

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Oz link 編集部

デジタル戦略を中心にクライアントを成功へ導くマーケティングコンサルティングエージェンシー株式会社Oz link(オズ・リンク)。顧客起点の科学的マーケティングを一気通貫で支援することで、企業の持続的な成長を実現します。ブランディングやマーケティング全般、プロモーションや営業活動における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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