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自社ブランドを成功に導くには?仕組みと構築ステップ・成功事例を紹介
商品やサービスに自社の想いや価値観を込めて届けたい――こうした想いから「自社ブランドの立ち上げ」を検討される企業が増えています。
自らのブランドを持つことで、価格競争に巻き込まれず、顧客との関係性を深められるという利点があることも、自社ブランド立ち上げ理由のひとつになるでしょう。
一方で、「ブランドコンセプトをどう設計すればよいのかわからない」「製造のノウハウがない」「開発や販路の設計に不安がある」といった声も多く、自社ブランドの立ち上げに踏み出しきれない企業も少なくありません。
そこで本記事では、自社ブランドの基本やメリット、成功のためのポイント、注意点などを整理しながら、マーケティングの視点から自社ブランド構築の道筋を解説します。
将来的にOEMを活用したブランド立ち上げをご検討の方にも、ご参考いただける内容です。
Contents
自社ブランドとは何か?
自社ブランドに取り組むにあたって、まずはその定義を正しく理解し、他の概念との違いを明確にすることが重要です。
ここでは、自社ブランドの基本的な考え方を整理します。
自社ブランドの定義
自社ブランドとは、企業が自ら企画・開発・販売の設計を担い、独自の価値を消費者に届けるブランドを指します。
必ずしも製造まですべてを内製する必要はなく、OEMを活用して製造を委託しながらも、「どんな価値を、誰に届けるか」というブランドの核を自社が主体となって構築している点が特徴です。
そのため、ブランド設計からマーケティング、販売戦略に至るまで、一貫した世界観や顧客体験を提供できることが大きな強みといえます。
プライベートブランド・OEMとの違い
プライベートブランド(PB)は、主に小売業が自社店舗向けに開発するもので、販売チャネルが限定される点が特徴です。
一方で自社ブランドは、販売チャネルや価格戦略、プロモーション方針なども自ら決定できる自由度があり、より戦略的なブランディングが可能です。
また、OEMは製造を委託する方式を指しますが、それ自体がブランドではありません。OEMを活用しつつも、ブランドの方向性を主導する立場にあるのが自社ブランドということになります。
D2Cとの関係性とは?
D2C(Direct to Consumer)は、自社ブランドのひとつの形態であり、仲介業者を介さずに消費者へ直接販売するビジネスモデルです。
製品の企画意図やブランドメッセージをそのまま顧客に届けやすいため、特にSNSやECを活用したマーケティングとの相性が良いとされています。
D2Cでは、自社で販売チャネルや顧客接点を持つことが求められるため、製造や物流はOEMと組み、マーケティングと販売に注力するケースが多く見られます。こうした分業型のブランド設計は、これからブランドを立ち上げたい企業にとっても非常に現実的なアプローチです。
■あわせて読む
『ブランディングとは何をすること?意味・目的・やり方・成功事例まで徹底解説』
『ブランドを立ち上げる方法とは?成功するためのステップと失敗しないためのコツ』
自社ブランドを作る3つメリット
自社ブランドを構築することには、単なる商品提供を超えた多くのメリットがあります。
価格や機能ではなく、ブランドそのものが選ばれる理由になることで、企業の競争力や事業の安定性を高めることができます。
1. 顧客との長期的な関係性を築ける
自社ブランドは、企業の価値観やストーリーが込められているからこそ、顧客との信頼関係を育みやすい特徴があります。
購入後のフォローや情報発信、世界観に共感したファンによる拡散などを通じて、継続的な関係性を構築できます。
2. 価格競争に巻き込まれにくくなる
汎用的な商品やOEM製品を扱う場合と異なり、自社ブランドには「独自の価値を提供している」という差別化要素があります。
そのため、安売り競争から距離を置き、適正価格での販売が可能になります。
3. ブランド資産として積み上がる
ブランドは時間とともに認知され、信頼され、企業の無形資産として蓄積されていきます。
ひとつの商品が売れなくなっても、ブランドそのものにファンがいれば新たな商品への展開もスムーズです。中長期的な視点で見れば、自社ブランドの存在は大きな成長基盤になります。
自社ブランド構築における4つの注意点とは?
自社ブランドには多くの魅力がある一方で、立ち上げや運用の過程で見落とされがちな注意点も存在します。
ブランド構築を進めるうえで特に注意したいポイントを整理します。
1. 顧客ニーズとのズレがブランドを失速させる
自社の想いや理想だけでブランドを組み立ててしまうと、実際の顧客ニーズとのギャップが生じるリスクがあります。
そのため、市場調査やインサイトの収集を怠らず、ユーザー視点に立った設計が求められます。
■あわせて読む
『インサイトとは?マーケティング戦略における活用方法とその重要性』
2. 短期的な売上重視によるブランド毀損
急激な値引きキャンペーンや大量の広告配信は、一時的な売上にはつながっても、ブランドの価値や信頼感を損なう恐れがあります。
中長期的な関係構築を前提としたブランディングを意識することが重要です。
3. 運用・発信の一貫性が保てない
ロゴやデザイン、メッセージに一貫性がないと、顧客にとって「何を大切にしているブランドなのか」が伝わりづらくなります。
ブランドガイドラインを明確に設け、関係者間で共有することが必要です。
4. 初期投資・リソースの見誤り
ブランド立ち上げには、商品開発・パッケージデザイン・プロモーション設計など、想像以上のリソースと時間がかかる場合があります。
外部パートナーとの連携や、OEMなどの活用も視野に入れながら、無理のない設計を行いましょう。
自社ブランドの成功に必要な4つの要素
魅力的な商品やサービスがあっても、ブランドとして成功するとは限りません。顧客に選ばれ、記憶に残るブランドには共通する要素があります。
自社ブランドを確かな価値として確立させるために必要な4つのポイントを詳しく解説します。
1. 明確なコンセプトとイメージ
ブランドの根幹を成すのが「コンセプト」です。
これは単なるキャッチコピーではなく、そのブランドが「どんな人に」「どんな状況で」「どのような価値を提供するのか」を一貫して伝える軸となります。
たとえば、「忙しい現代女性が短時間で整えられるコスメ」というコンセプトであれば、製品仕様はもちろん、パッケージデザイン、Webサイトの構成、広告の表現まで、その方向性がブレることなく整っている必要があります。
明快なコンセプトがあるブランドは、顧客にとって理解しやすく、共感や選択の判断がしやすくなります。
結果として想起されやすく、ファン化しやすいブランドへと育っていきます。
2. 感性・情緒への訴求力
人の購買行動は、必ずしも論理的な判断だけではありません。
「好き」「心地いい」「憧れる」といった感情が購入の決め手になることは非常に多くあります。
この情緒的価値は、製品そのものに限らず、手触りや香り、色合い、ストーリー、世界観、SNSでの言葉遣いや写真のトーンに至るまで、あらゆる接点で生み出されます。
たとえば、同じ機能を持つプロダクトであっても、「癒し」や「前向きな気持ち」を想起させる体験設計がされているかどうかで、ブランドの印象は大きく変わります。
ブランドとの接点すべてが一貫して心地よいと感じられることが、指名買いやリピートにつながる要因となるのです。
3. 他にはない独自性
市場に類似商品があふれる中で、自社ブランドが選ばれるには「他にはない理由」が必要です。
単に競合と違う特徴を持つだけでなく、その特徴が「なぜ顧客にとって価値があるのか」を明確に伝えられることが重要となります。
独自性は、機能や素材だけでなく、「誰のどんな悩みに応えるか」「どういうストーリーが背景にあるか」といった価値提供の文脈でも生み出せます。
たとえば、スキンケアアイテムを提供する際に、「肌に触れることが怖いと感じている方に、自信を取り戻すきっかけを届ける」というような文脈があれば、そのブランドならではの存在意義がより明確になります。
このように、競合と比較される場面でも、自社ブランドの「意味」が伝わる状態をつくることが差別化に直結します。
4. 口コミやパブリシティの広がり
ブランドが成長していくうえで欠かせないのが「自然に広がる仕組み」です。
広告だけでなく、実際に使った人がSNSで紹介したくなる、誰かにプレゼントしたくなる、雑誌やメディアで取り上げたくなる――そんなブランドは、自走的に認知が広がっていきます。このような拡散を生むためには、「他の人に話したくなるような体験」が重要です。
たとえば、開封した瞬間の驚き、使った後の感動、購入時に得られる共感、応援したくなる理念など、共有したくなるストーリーや演出がブランドに仕込まれている必要があります。
また、パブリシティでは社会的な意味や背景、ブランドの姿勢そのものが語られる機会も増えるため、見せ方と伝え方の設計も重要です。
自社ブランド立ち上げのステップ
自社ブランドの構築を進めるにあたっては、いくつかのステップを意識しながら取り組むことで、より確実に形にしていくことができます。ここでは、実際にブランドを立ち上げる際によく用いられる流れをご紹介します。
以下では、ブランド構築の基本的なステップをご紹介します。
【Step 1】市場調査と顧客理解
まずは、ブランドを届けたい相手や市場の環境を把握することから始めましょう。
PEST分析やSWOT分析、3C分析といったフレームワークを使って、以下のような観点から情報を集めていきます。
■自社の強み・弱みは何か
■競合他社はどのような価値を伝えているか
■顧客が商品を選ぶときに重視していることは何か
たとえば、「30代の女性が朝の時短メイクに求めることは?」「どんな場面で不便を感じている?」といった問いを立てながら調査を進めると、自然とブランドの方向性が見えてきます。
■あわせて読む
『ブランディング戦略のフレームワーク|成功するブランドのための必須ツール』
『ブランディングを高めるには?想起され選ばれるブランドを築く4つの戦略ステップ』
【Step 2】ブランドコンセプトとターゲットの設計
調査で得た情報をもとに、「誰に、どんな価値を、どう届けたいのか」を言語化していきます。
ここで重要なのは、商品の機能ではなく、使うことで得られる体験や感情にフォーカスすることです。
たとえば、「安心して肌にのせられる」「気持ちが整う朝時間を作る」といったイメージです。実際にそのブランドを選ぶ人のライフスタイルや価値観まで想像し、伝えるべきメッセージの軸を整えていきます。
【Step 3】商品開発と体験設計
コンセプトが定まったら、次は商品そのものの設計に移ります。
もちろん品質やコストも大切ですが、それ以上に意識したいのが「どんな体験を届けたいか」です。
■開封したときのワクワク感
■誰かに勧めたくなるような使い心地
■ブランドの世界観と一致したパッケージ
このように、「購入したその瞬間からブランド体験が始まっている」という意識で、細部まで設計していくことで、顧客に強い印象を残すことができます。
【Step 4】販売チャネルと導線の構築
どんなに魅力的な商品でも、必要としている人に届かなければ意味がありません。
そこで、どのチャネルで、どのような流れで購入してもらうかを具体的に設計していきます。
■ECサイトやSNSは活用するか?
■店舗販売とどう併用するか?
■認知から購入までの導線に抜けはないか?
「まずはInstagramで存在を知り、公式サイトで詳細を確認し、購入ボタンに迷わずたどり着ける」ような、なめらかな導線が理想です。
【Step 5】プロモーションと共感の拡大
ブランドを立ち上げたあとは、その価値や世界観をどのように届けていくかが重要です。
SNSや広告を通じた情報発信に加えて、顧客が自然と共感し、自発的にシェアしたくなる仕掛けを設けることが、ブランドの広がりを促進します。
■商品に込めた想いをストーリーとして伝える
■SNSでシェアしやすいビジュアルやハッシュタグを整える
■インフルエンサーや顧客の声を活用してリアルな体験を共有する
こうしたプロモーション活動を通じて、「伝える」だけでなく「伝わる」ブランドとしての存在感を築いていくことがポイントです。
広告施策も含めた一貫した設計により、ブランドの魅力がより多くの人に届きやすくなります。
■あわせて読む
『【5STEP】ブランディングの方法とは?種類・メリット・成功ステップを徹底解説』
『商品ブランディングとは?競争優位を確立するためのステップと戦略』
自社ブランドの成功事例
弊社Oz link(株式会社オズ・リンク)が支援を行い、実際に成果を上げている自社ブランドの立ち上げ事例をご紹介します。
オンライン領域とオフライン領域それぞれで、コンセプト設計・体験づくり・集客導線の最適化を丁寧に行うことで、確かな成長につなげたケースです。
オンライン領域の事例
事例1|D2Cコスメブランド「_NEUR」
「自分らしく生きる人に寄り添うブランド」として、コンセプト設計からSNSでの共感設計までを一貫して実施。
ハッシュタグ戦略やストーリー性ある発信により、3年間で売上150%成長を達成。オンライン上の認知・購買行動を強化しました。
事例2|敏感肌向け化粧品ブランド「VINTORTE」
メイク需要が落ち込んだコロナ禍において、「前向きな気持ちを取り戻すための化粧品」というコンセプトに再定義。
成分や処方のストーリーを丁寧に発信し、SEO・SNS・メール施策など複数チャネルを活用した統合型マーケティングにより、1年で売上120%以上の回復を実現しました。
オフライン領域の事例
事例3|飲食店「SPICE HOLIC」
京都・烏丸にオープンしたスパイスカレー専門店「SPICE HOLIC」は、OPENから3日間でInstagramフォロワー1,000人を獲得するなど、話題性の高い立ち上がりを実現しました。
店舗コンセプト、ロゴ、メニュー、空間デザインまでを一貫して設計することで、来店体験そのものがブランド体験となるよう設計。
SNS映えを意識した導線づくりにより、店舗認知と集客を加速させました。
事例4|パーソナルジム「RACINE Beauty & Wellness」
「一生付き合う身体を、根源から整える」をコンセプトとした完全オーダーメイド型のパーソナルジム。事業立ち上げからブランド設計・会員募集施策までをトータルで支援し、開業以来4年連続で売上が増加。
「食事・運動・休息」の3軸で構成されたメソッドと、それに伴うブランドストーリー・ビジュアルを丁寧に整備することで、長期的に信頼されるブランド構築に成功しています。
まとめ|自社ブランドを成功させるには?成果につながる設計と実践のポイント
自社ブランドづくりに取り組む際は、商品の企画や開発に加えて、「誰に、どんな価値を、どのように届けていくか」までを見据えた設計が重要になります。
商品そのものに加え、ブランドのストーリーや体験、発信の方法までを一体として考えることで、より深く共感されるブランドへと育っていきます。
オンライン・オフライン問わず、多くのブランドが存在する今だからこそ、自社らしさを丁寧に掘り下げ、伝え方を整えていくことが選ばれる理由になります。ひとつずつ確実に整えていくことが、長く愛されるブランド構築への第一歩です。
自社ブランドの立ち上げ・再構築にお悩みなら、まずは無料相談から
「ブランドを立ち上げたいけれど、何から始めていいかわからない」「商品はあるが、ブランドとしての打ち出し方が定まらない」「既存ブランドの認知が伸び悩み、見直しを検討している」――こうしたお悩みをお持ちの方へ。
私たちOz link(株式会社オズ・リンク)では、自社ブランドの新規立ち上げはもちろん、既存ブランドのリブランディング(再設計)にも対応しています。
戦略設計からコンセプト開発、販路設計、OEMの活用支援まで、自社ブランド構築をトータルでサポート。
現状の課題に応じて、必要な支援をカスタマイズしてご提案いたします。
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『ブランディングとは何をすること?意味・目的・やり方・成功事例まで徹底解説』
『【2025年版】ブランディング会社ならOz link|競争優位性を確立するための最適支援』
『【2025年版】デジタルマーケティングコンサルならOz link|戦略設計から実行・改善まで一気通貫で支援』
『ブランディングとマーケティングの違いとは?効果的な統合戦略で成功する方法』
『マーケティング支援とは?支援内容・会社の種類・選び方をわかりやすく解説』
『【すぐに実践できる】ターゲット設定の重要性と効果的なユーザーターゲティング手法』
『ブランドを立ち上げる方法とは?成功するためのステップと失敗しないためのコツ』
『マーケティングと経営戦略の違いは?|一貫したコンサルティングで企業成長を支援する方法』
About meこの記事を書いた人
Oz link 編集部
顧客起点の科学的マーケティングを一気通貫で支援し、企業の持続的な成長を実現するマーケティングコンサルティング・採用コンサルティング企業「株式会社Oz link(オズ・リンク)」。ブランディングやマーケティング全般、プロモーションや営業活動、人材採用/インターンシップ設計における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
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