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マーケティング戦略とは?立て方・フレームワーク・具体例をわかりやすく解説
マーケティング戦略とは、事業目標から逆算し、「誰に(Who)」「何を(What)」「どう届けるか(How)」を定め、KGI・KPIや顧客導線、各施策を一貫させる全体設計のことです。
広告やSEO、SNS、Webサイト、CRMなどは、マーケティング戦略を実行するための「施策」です。どの施策を行うかだけを考えても、ターゲットや提供価値、顧客導線、KPIがつながっていなければ、売上や利益といった事業成果には結びつきにくくなります。
マーケティング戦略で重要なのは、「何をやるか」を決めることではなく、事業成果につながる構造を設計することです。
特に現在は、広告、SEO、SNS、動画、CRMなど企業が取り組める施策が増えています。そのため、施策を増やすこと以上に、どの顧客に、どのような価値を届け、各施策にどの役割を持たせるのかを整理し、優先順位を決めることが重要です。
この記事では、マーケティング戦略の基本から、実際に成果につなげるための考え方までわかりやすく解説します。「施策には取り組んでいるものの成果につながらない」「何から改善すべきかわからない」という方も、自社のマーケティングを整理するための参考にしてください。
・マーケティング戦略とは何か
・マーケティング施策や経営戦略との違い
・マーケティング戦略を構成する要素
・マーケティング戦略の立て方と代表的なフレームワーク
・戦略が成果につながらない原因と改善の考え方
Contents
マーケティング戦略とは?意味をわかりやすく解説
マーケティング戦略とは、商品やサービスを売るための施策を決めることではなく、事業目標の達成に向けて「誰に、どのような価値を、どのように届けるか」を設計することです。
広告やSEO、SNS、Webサイトなどの施策を考える前に、ターゲットや提供価値、顧客との接点、成果を測る指標まで整理し、事業成果につながる全体像をつくります。
マーケティング戦略を一言でいうと「事業成果につなげる全体設計」

※マーケティングコンサルタント株式会社Oz link「マーケティング戦略と施策の立案」より
マーケティング戦略の基本となるのが、Who(誰に)・What(何を)・How(どう届けるか)という考え方です。
たとえば、同じ商品でも「誰をターゲットにするか」が変われば、伝えるべき価値や適した販売チャネル、広告表現も変わります。
そのため、まず顧客を明確にし、その顧客にとっての価値や選ばれる理由を整理したうえで、Webサイト、広告、SEO、SNS、営業などをどう組み合わせるかを考える必要があります。
さらに実務では、Who・What・Howだけでなく、KGIやKPI、顧客導線、予算、収益性までつなげることが重要です。
マーケティング戦略とは、個々の施策を選ぶことではなく、事業目標から逆算して、顧客・価値・導線・指標・施策を一つの構造として設計することです。
マーケティング戦略と「施策・事業戦略・経営戦略」の違い
マーケティング戦略と混同されやすいのが、「マーケティング施策」「事業戦略」「経営戦略」です。
それぞれは独立しているわけではなく、経営戦略や事業戦略を実現するためにマーケティング戦略があり、その戦略を実行するために各マーケティング施策があるという関係です。
| 項目 | 主な役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| 経営戦略 | 企業全体として、どの市場・事業に資源を配分し、どのように成長するかを決める | 新規事業への参入、事業ポートフォリオ、M&Aなど |
| 事業戦略 | 特定の事業で、どの市場を狙い、どのように競争優位をつくるかを決める | 対象市場、商品構成、価格帯、競争ポジションなど |
| マーケティング戦略 | 誰に、何を、どのように届け、事業成果につなげるかを設計する | ターゲット、提供価値、顧客導線、チャネル、KPIなど |
| マーケティング施策 | マーケティング戦略を実行するための具体的な手段 | 広告、SEO、SNS、Webサイト、CRMなど |
たとえば「Web広告を出す」「SEOを強化する」という判断は施策であり、それだけではマーケティング戦略とはいえません。
「どの顧客に、どの価値を伝えるために、その施策を行うのか」「その施策が売上や利益にどうつながるのか」まで整理されて、初めて戦略と施策が一貫します。
マーケティング戦略と経営戦略の関係については、『マーケティング戦略と経営戦略の違い』でも詳しく解説しています。
なぜマーケティング戦略が必要なのか
マーケティングでは、広告、SEO、SNS、Webサイト、CRMなど、さまざまな施策を実行できます。しかし、施策を増やすだけでは、必ずしも売上や利益の向上につながるとは限りません。
限られた予算や人員をどこに使い、どの施策をどの順番で実行するのかを決めるためにも、マーケティング戦略が必要です。
施策だけでは成果が積み上がらない
マーケティング戦略がない状態では、広告は広告、SEOはSEO、SNSはSNSと、それぞれの施策が個別に動きやすくなります。
たとえば、広告で集客できていても、Webサイトで商品の価値が十分に伝わっていなければ問い合わせにはつながりません。また、問い合わせが増えても、その後の営業やCRMが連動していなければ、受注や継続購入につながらないこともあります。
このように、個々の施策だけを改善するのではなく、認知から集客、比較・検討、問い合わせ・購入、その後の継続までを一つの顧客導線として捉えることが重要です。
マーケティング戦略には、バラバラになりやすい施策を「事業成果につながる一つの流れ」にする役割があります。
「やること」と「やらないこと」の優先順位が決まる
マーケティングで成果を出すために、すべての施策を同時に行う必要はありません。
むしろ重要なのは、事業目標や顧客の状況を踏まえて、今どこが成果を阻害しているのかを見極め、優先順位をつけることです。
たとえば、集客数が不足している企業と、アクセスは十分にあるものの問い合わせ率が低い企業では、優先すべき施策は異なります。
前者であればSEOや広告などの集客強化が必要になる可能性がありますが、後者であればWebサイトの訴求や導線、CVRの改善を先に行う方が効果的な場合があります。
マーケティング戦略を設計することで、施策を闇雲に増やすのではなく、「何を先に改善するべきか」「今は何をやらないのか」を判断しやすくなります。
売上だけでなく利益・LTVまでつなげられる
マーケティングの成果を「問い合わせ数」や「売上」だけで判断すると、事業全体として最適ではない施策を続けてしまうことがあります。
たとえば、広告によって新規顧客が増えても、獲得コストが高すぎれば利益は残りません。また、一度購入して終わる顧客が多い場合は、新規獲得だけでなく継続率やLTVの改善も必要です。
そのためマーケティング戦略では、集客数やCV数だけでなく、受注率、客単価、継続率、LTV、利益率など、事業成果につながる指標まで含めて設計することが重要です。
売上を増やすことだけを目的にするのではなく、顧客との関係や収益性まで見ながらマーケティング全体を設計することで、持続的な事業成長につなげやすくなります。
マーケティング戦略で設計する5つの要素
マーケティング戦略を考える際は、ターゲットや施策だけを個別に決めるのではなく、事業目標から顧客、提供価値、届け方、成果指標までを一つの流れとして設計することが重要です。
基本となるのは、次の5つの要素です。
・Who|誰に届けるのか
・What|どのような価値を届けるのか
・How|どのように届けるのか
・KPI・収益構造|成果をどう測り、改善するのか

これらを「事業目標・KGI → Who → What → How → KPI・収益構造」とつなげて設計することで、個々の施策を売上・利益・LTVなどの事業成果へ結びつけやすくなります。
事業目標・KGI|何を実現するのか
マーケティング戦略を考えるうえで、最初に明確にしたいのが「マーケティングによって何を実現したいのか」です。
たとえば、同じ「売上を伸ばす」という目的でも、新規顧客を増やすのか、既存顧客の購入頻度を高めるのか、客単価を上げるのかによって取るべき戦略は変わります。
そのため、まず事業として目指す状態を整理し、KGI(重要目標達成指標)として具体化します。
たとえば、
・新規事業の売上比率を20%まで高める
・EC事業の営業利益率を改善する
といった目標です。
マーケティング戦略は、施策から考えるのではなく、まず「どの事業成果をつくるのか」から逆算することが重要です。
Who|誰に届けるのか
次に決めるのが、商品やサービスを「誰に届けるのか」です。
すべての人を対象にすると、訴求内容やチャネルが曖昧になりやすく、結果として誰にも強く響かないマーケティングになってしまいます。
そのため、市場を細分化し、自社の商品・サービスを特に必要としている顧客を明確にします。
年齢や性別、企業規模などの属性だけでなく、
・何をきっかけに情報を探すのか
・商品やサービスを選ぶ際に何を重視するのか
・購入や問い合わせをためらう理由は何か
といった顧客のニーズや行動、心理まで理解することが重要です。
What|どのような価値を届けるのか
ターゲットが決まったら、その顧客に対して「何を価値として届けるのか」を整理します。
ここで重要なのは、商品の機能や特徴を並べるだけではありません。
顧客から見て、
という理由を明確にする必要があります。
たとえば、同じWeb制作サービスでも、「デザイン性の高いWebサイトを制作する」のか、
「営業活動につながる問い合わせ導線まで設計する」のかでは、顧客が感じる価値は大きく異なります。
競合との違いや自社の強みを踏まえながら、顧客にとっての価値と、自社が選ばれる理由を明確にすることがWhatの設計です。
How|どのように届けるのか
WhoとWhatが決まったあとに考えるのが、その価値をどのように顧客へ届けるかです。
ここで初めて、広告、SEO、SNS、Webサイト、店舗、営業、メール、CRMなどの具体的な施策を検討します。
重要なのは、単に施策を選ぶのではなく、顧客が商品やサービスを知ってから購入・契約するまでの流れを考え、それぞれの施策に役割を持たせることです。
たとえば、
・Webサイトで商品やサービスの価値を理解してもらう
・事例や資料で比較・検討を後押しする
・問い合わせ後は営業活動につなげる
・購入後はメールやCRMで継続利用を促す
といったように、顧客導線全体の中で各施策を連動させることが重要です。
KPI・収益構造|成果をどう測り、改善するのか
マーケティング戦略は、実行して終わりではありません。
事業目標であるKGIに対して、どの数字を改善すれば成果につながるのかを整理し、KPIを設定します。
たとえばBtoB企業であれば、
↓
問い合わせ数
↓
商談数
↓
受注数
↓
売上・利益
といった流れに分解できます。
ECであれば、
↓
購入率
↓
客単価
↓
リピート率
↓
LTV・利益
などの指標が考えられます。
重要なのは、単にアクセス数や問い合わせ数を増やすことではなく、最終的な売上や利益につながるまでの数値をつなげて見ることです。
たとえば広告からの問い合わせ数が増えていても、受注率が低ければ売上には十分につながりません。売上が増えていても、広告費や原価が増えすぎていれば利益が残らない場合もあります。
そのため、KPIを定期的に確認しながらボトルネックを特定し、施策や顧客導線を改善していく必要があります。
「事業目標・KGI → Who → What → How → KPI・収益構造」までがつながっている状態が、マーケティング戦略の基本形です。
マーケティング戦略の立て方|6つのステップ
マーケティング戦略は、思いついた施策を順番に追加していくのではなく、事業目標から逆算し、市場・顧客・提供価値・顧客導線・KPIを順番に整理していくことが重要です。
基本的には、次の6つのステップで考えると全体を整理しやすくなります。
・市場・顧客・競合を分析する
・ターゲットと提供価値を決める
・顧客導線と施策の役割を設計する
・KPI・優先順位・予算を決める
・実行・検証・改善する

STEP1|事業目標・KGIを決める
最初に、「マーケティングによって何を実現するのか」を明確にします。
売上を増やす、新規顧客を獲得する、利益率を改善する、新規事業を成長させるなど、企業によって目指す成果は異なります。
ここで重要なのは、「SEOを強化する」「SNSを始める」といった施策を目標にしないことです。
まず事業として達成したいKGIを設定し、そこからマーケティングに求める役割を逆算します。
たとえば「年間売上を20%伸ばす」というKGIであれば、新規顧客数を増やすのか、受注率を高めるのか、客単価やLTVを改善するのかによって、取るべき戦略は変わります。
STEP2|市場・顧客・競合を分析する
次に、自社を取り巻く環境を分析します。
マーケティング戦略は、自社の希望だけで決めるものではありません。市場の変化や顧客ニーズ、競合の状況を踏まえて、どこに成長機会があり、自社がどの領域で選ばれる可能性があるのかを整理します。
主に確認したいのは、
・顧客が抱えている課題やニーズ
・購入・契約を決める要因
・競合の商品、価格、訴求、販売方法
・自社の強みや弱み
などです。
この段階では、3C分析やSWOT分析などのフレームワークを活用すると、情報を整理しやすくなります。
STEP3|ターゲットと提供価値を決める
分析した情報をもとに、「誰を狙うのか」と「その顧客に何を価値として届けるのか」を決めます。
市場全体を広く狙うのではなく、自社の商品・サービスとの相性や市場性、競合状況などを踏まえ、優先すべき顧客を絞り込みます。
そのうえで、
・競合ではなく自社を選ぶ理由は何か
・どのような価値を伝えると顧客に響くか
を整理します。
STP分析などを活用しながら、ターゲットと自社のポジションを明確にすると、後の施策にも一貫性を持たせやすくなります。
ターゲットを決めることと、選ばれる理由を決めることはセットで考えることが重要です。
STEP4|顧客導線と施策の役割を設計する
ターゲットと提供価値が決まったら、顧客が商品やサービスを知り、比較・検討し、購入・問い合わせに至るまでの流れを設計します。
たとえばBtoBであれば、
↓
情報収集
↓
比較・検討
↓
問い合わせ
↓
商談
↓
受注
という流れが考えられます。
そのうえで、SEO、広告、SNS、Webサイト、ホワイトペーパー、メール、営業などに、どの段階を担わせるのかを決めます。
大切なのは、施策を単体で考えるのではなく、顧客導線の中でそれぞれの役割を明確にすることです。
たとえばSEOでアクセスを集めても、その後に比較検討を促すコンテンツや問い合わせ導線がなければ、事業成果にはつながりにくくなります。
STEP5|KPI・優先順位・予算を決める
戦略を実行できる状態にするために、KPIと施策の優先順位、必要な予算を決めます。
KGIが売上であれば、
↓
受注数
↓
商談数
↓
問い合わせ数
↓
Webサイトへの流入数
というように、成果を構成する数字を分解すると、どこを改善すべきか見えやすくなります。
ただし、すべてのKPIを同時に改善しようとすると、予算や人員が分散してしまいます。
そのため、
・緊急性が高いか
・実行可能か
・必要な予算や人員はどの程度か
といった視点から、取り組む順番を決めます。
良いマーケティング戦略とは、施策を増やすことではなく「今どこに経営資源を集中するか」が明確になっている状態です。
STEP6|実行・検証・改善する
マーケティング戦略は、一度策定したら終わりではありません。
実際に施策を実行すると、想定していた顧客反応との違いや、新たな課題が見えてきます。
そのため、設定したKPIを定期的に確認し、
・どこで顧客が離脱しているか
・どの施策が成果につながっているか
・当初の仮説と何が違っていたか
を検証します。
その結果をもとに、ターゲットや訴求、顧客導線、施策の配分などを見直していきます。
戦略は固定された計画ではなく、実行から得られたデータをもとに改善し続けるものです。
マーケティング戦略の立案方法をさらに詳しく知りたい方は、『マーケティング戦略の立案方法』もあわせてご覧ください。
マーケティング戦略に使う代表的なフレームワーク
マーケティング戦略を立てる際には、市場や顧客、競合、自社の状況を整理するために、さまざまなフレームワークを活用できます。
ただし、フレームワークを使うこと自体が目的ではありません。
「何を明らかにしたいのか」に応じて適切なフレームワークを選び、その分析結果を実際の戦略や施策に反映することが重要です。
代表的なフレームワークと主な役割を整理すると、次のようになります。
| フレームワーク | 主な目的 | 活用する場面 |
|---|---|---|
| 3C分析 | 市場・顧客、競合、自社の状況を整理する | 市場環境や競争状況を把握するとき |
| SWOT分析 | 自社の強み・弱みと外部環境の機会・脅威を整理する | 成長機会や戦略上の課題を整理するとき |
| STP分析 | 狙う市場・顧客と自社のポジションを明確にする | WhoとWhatを決めるとき |
| 4P・4C分析 | 商品・価格・販売方法・プロモーションを具体化する | 戦略を具体的な施策へ落とし込むとき |
| カスタマージャーニー | 顧客の行動や心理、接点を整理する | 顧客導線や施策の役割を設計するとき |
3C・SWOT分析|市場・競合・自社の状況を整理する
マーケティング戦略を考える前提として、まず自社を取り巻く環境を把握する必要があります。
3C分析では、
・Competitor(競合)
・Company(自社)
という3つの視点から、市場でどのようなニーズがあり、競合がどのような価値を提供し、自社にどのような強みがあるのかを整理します。
一方、SWOT分析では、自社の強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat)を整理します。
たとえば、市場自体は成長していても競合が強い場合と、市場は小さいものの自社が明確な強みを持っている場合では、選ぶべき戦略は異なります。
フレームワークは情報を埋めるために使うのではなく、「自社がどこで勝てるのか」を見つけるために活用することが重要です。
3C分析については、『3C分析とは?マーケティング戦略への活用方法』でも詳しく解説しています。
STP分析|狙う顧客とポジションを決める
市場環境を整理したら、次に「誰を狙うのか」を明確にします。
STP分析は、
・Targeting(狙う市場・顧客の選定)
・Positioning(自社の立ち位置の明確化)
という流れで、ターゲットと自社のポジションを整理するフレームワークです。

たとえば、同じ市場でも価格を重視する顧客と、品質やサポートを重視する顧客では、求められる価値が異なります。
そのため、市場全体を一括りにするのではなく、自社の商品・サービスが最も価値を提供できる顧客を見極めることが重要です。
また、ターゲットを決めるだけでなく、競合と比較したときに「顧客からどのような存在として認識されたいか」まで整理することで、訴求や施策にも一貫性を持たせやすくなります。
4P・4C分析|戦略を具体的な提供方法へ落とし込む
ターゲットと提供価値が決まったら、その価値をどのような商品や価格、販売方法、プロモーションで届けるのかを具体化します。
代表的なのが4P分析です。
4Pでは、
・Price(価格)
・Place(流通・販売チャネル)
・Promotion(販促・コミュニケーション)
の4つを整理します。
一方、4Cはこれらを顧客側の視点から捉える考え方です。
重要なのは、「良い商品を作る」「広告を出す」と個別に考えるのではなく、ターゲットや提供価値と4P・4Cが一貫しているかを確認することです。
たとえば、高付加価値の商品を提供するにもかかわらず、価格や販売場所、広告表現がその価値と合っていなければ、顧客にはブランドの意図が伝わりにくくなります。
4Pについて詳しくは、『マーケティングの4Pとは?』も参考にしてください。
カスタマージャーニー|顧客導線と施策をつなげる
マーケティング戦略では、顧客を決めるだけでなく、その顧客が商品やサービスを認知し、購入・契約に至るまでの行動や心理を考える必要があります。
カスタマージャーニーを整理すると、
「どのような情報を探すのか」
「何と比較するのか」
「どこで不安を感じるのか」
「何が購入や問い合わせの決め手になるのか」
といった顧客の動きを可視化できます。
そのうえで、SEOは情報収集、SNSは認知、Webサイトは理解・比較、事例は検討支援、営業は商談、CRMは継続といったように、各施策の役割を整理します。
カスタマージャーニーを活用することで、広告、SEO、SNS、Webサイト、営業、CRMなどを個別の施策ではなく、一連の顧客体験として設計しやすくなります。
なお、マーケティングではこのほかにもPEST分析、ファイブフォース分析、バリューチェーン分析などさまざまなフレームワークがあります。
大切なのは、多くのフレームワークを使うことではなく、「今、何を判断するために分析するのか」を明確にし、戦略上の意思決定につなげることです。
マーケティングで使われるフレームワークをまとめて確認したい方は、『マーケティングで活用できるフレームワーク』もあわせてご覧ください。
マーケティング戦略の具体例|施策を「点」から「構造」に変える
マーケティング戦略を実務で考える際に重要なのは、広告やSEOなどの施策を個別に改善するのではなく、事業目標から顧客、提供価値、顧客導線、KPI、施策までをつなげることです。
ここでは、株式会社Oz link(オズ・リンク)が支援したBtoB企業の事例をもとに、マーケティング戦略によって施策を「点」から「構造」に変える考え方を紹介します。
課題|営業が属人化し、Webや広告が商談につながっていなかった
あるIT・システム開発企業では、営業活動が経営者個人の人脈や営業力に依存しており、組織として継続的にリードや商談を獲得する仕組みが整っていませんでした。
Webサイトや広告にも取り組んでいましたが、
・ペルソナやKPIが設計されていない
・Webサイトと広告が連動していない
・認知から商談までの導線が整理されていない
といった状態でした。
この場合、単純に広告費を増やしたり、Webサイトを作り直したりするだけでは、根本的な課題は解決できません。
必要だったのは「広告をどう改善するか」ではなく、「どの顧客を狙い、どう商談につなげるか」というマーケティング全体の構造を設計し直すことでした。
戦略設計|市場・顧客・KPIから逆算して全体を整理
まず、市場調査や顧客分析を行い、ペルソナを整理したうえで、どの顧客層を重点的に狙うのかを明確にしました。
そのうえで、
↓
ターゲット
↓
訴求・提供価値
↓
Webサイト
↓
広告
↓
問い合わせ
↓
商談
↓
KPI
という流れで、認知から商談までの構造を整理します。
さらに、Webサイトや広告を別々の施策として扱うのではなく、ターゲットの行動に合わせて、それぞれに役割を持たせるよう設計しました。
実行|Webサイト・広告・クリエイティブを戦略に沿って連動
戦略を設計した後は、WebサイトやCMSの構築、クリエイティブ制作、Google・Yahoo!・Metaなどの広告運用までを一貫して実行しました。
重要なのは、広告運用やWeb制作そのものではありません。
「どの顧客に、何を伝え、どのように商談へつなげるのか」という戦略を共通の軸にすることで、Webサイト、広告、クリエイティブ、営業を一つの顧客導線として機能させたことがポイントです。
成果|属人的な営業から「仕組みで商談を生み出す」状態へ
戦略設計からWebサイト、広告運用までを一貫して見直した結果、支援前と比較して商談率は50倍となりました(※)。
この事例からわかるのは、成果を左右したのが特定の広告媒体やWeb施策だけではないということです。
市場・顧客・KPIを整理し、Webサイトや広告、営業までを一つの構造として設計したことで、個人の営業力に依存する状態から、組織として商談を生み出す仕組みへと変わりました。
マーケティング戦略では、「どの施策が優れているか」を考える前に、
・何を価値として伝えるのか
・どの導線で商談・購入につなげるのか
・何をKPIとして改善するのか
を整理することが重要です。
マーケティング戦略とは、施策を増やすことではなく、施策が事業成果につながる構造をつくることです。
※特定の支援事例における実績であり、同様の成果を保証するものではありません。
マーケティング戦略がうまくいかない5つの原因
マーケティング戦略を立てても、思うように成果につながらないことがあります。
その原因は、広告やSEOなど個別施策の良し悪しではなく、戦略の前提や施策同士のつながりに問題があるケースも少なくありません。
特に注意したいのは、次の5つです。
1. 施策から考え始めている
よくあるのが、
「SNSを始めたい」
「広告を出したい」
「Webサイトをリニューアルしたい」
と、施策から考え始めるケースです。
しかし、施策はあくまで目的を達成するための手段です。
事業として何を実現したいのか、どの顧客を狙うのか、どのような価値を届けるのかが決まっていなければ、施策を実行しても成果につながりにくくなります。
まず決めるべきなのは「何をやるか」ではなく、「どの事業課題を、誰に対して、どのように解決するのか」です。
施策を検討する前に、事業目標やKGI、ターゲット、提供価値を整理しましょう。
2. ターゲットや提供価値が曖昧
ターゲットを広く設定しすぎると、誰に向けたマーケティングなのかが不明確になります。
また、ターゲットが決まっていても、
「丁寧なサポート」
「豊富な実績」
といった一般的な訴求だけでは、競合との違いが伝わりにくい場合があります。
重要なのは、顧客が抱えている課題と、自社が選ばれる理由を具体的に結びつけることです。
「誰に売るのか」と「なぜ自社を選ぶのか」が曖昧なままでは、広告やWebサイト、営業資料などのメッセージも統一できません。
3. KGIとKPIがつながっていない
マーケティング活動では、アクセス数、広告のクリック率、SNSのフォロワー数など、さまざまな数字を確認できます。
しかし、それらの数値が最終的な売上や利益とどうつながっているのかが明確でなければ、改善すべきポイントを正しく判断できません。
たとえばアクセス数が増えていても、
・商談化率が低い
・受注率が低い
・顧客獲得コストが高い
といった課題があれば、売上や利益には十分につながりません。
そのため、KGIから逆算してKPIを設定し、どの数字が成果を左右しているのかを把握することが重要です。
4. 広告・SEO・SNS・営業などが分断している
企業内でよく起こるのが、施策ごとに担当者や支援会社が異なり、それぞれが個別に最適化されている状態です。
たとえば、
・SEOでは専門性を訴求している
・Webサイトでは別の強みを打ち出している
・営業ではさらに違う説明をしている
という状態では、顧客に伝わるメッセージが一貫しません。
また、SEOや広告で集客した後に、Webサイト、営業、CRMへ情報がつながっていなければ、途中で顧客が離脱してしまいます。
各施策を単独で最適化するのではなく、顧客が認知してから購入・契約するまでの流れ全体で設計することが必要です。
5. 実行後の検証・改善ができていない
マーケティング戦略は、一度作成すれば長期間そのまま使えるものではありません。
市場環境や競合、顧客ニーズは変化するため、実行後のデータをもとに継続的に見直す必要があります。
特に、
・訴求内容は顧客ニーズと合っているか
・どの施策が成果につながっているか
・どこで顧客が離脱しているか
・投資に対して十分な利益が得られているか
を定期的に確認することが重要です。
成果が出ない場合も、すぐに施策そのものを変更するのではなく、「戦略の前提が間違っているのか」「顧客導線に問題があるのか」「実行方法に問題があるのか」を切り分けて考えます。
マーケティング戦略は、策定して終わるものではなく、実行と検証を繰り返しながら精度を高めていくものです。
マーケティング戦略を見直した方がよい企業の状態
マーケティング施策を継続していても成果が伸びない場合、個別施策の改善だけではなく、マーケティング戦略そのものを見直した方がよいケースがあります。
特に、次のような状態が続いている場合は、事業目標、顧客、提供価値、KPI、施策のつながりを一度整理することが重要です。
施策を増やしているのに売上・利益が伸びない
広告、SEO、SNS、Webサイトなどに取り組み、アクセスや問い合わせは増えているにもかかわらず、売上や利益が十分に伸びていない場合は注意が必要です。
原因は集客不足ではなく、
・商談から受注につながっていない
・顧客獲得コストが高い
・リピートや継続利用につながっていない
など、別の部分にあるかもしれません。
この状態で新しい施策を追加すると、コストや業務だけが増え、成果が分散してしまう可能性があります。
まず売上や利益までの構造を分解し、どこがボトルネックになっているのかを特定することが重要です。
何から改善すべきか優先順位を決められない
マーケティングでは、広告改善、SEO、SNS、サイトリニューアル、CRMなど、取り組める施策が数多くあります。
そのため、
「広告も改善したい」
「サイトも古くなっている」
「SNSにも取り組むべきではないか」
と、課題や施策が増え続けることがあります。
しかし、予算や人員には限りがあります。
マーケティング戦略では、やることを増やすだけでなく、「今どこを改善すれば事業成果への影響が最も大きいか」を判断することが重要です。
優先順位が決められない場合は、事業目標とKPIの関係から施策を整理し直す必要があります。
マーケティング全体を見る責任者がいない
広告、SEO、SNS、Web制作、営業などを、それぞれ異なる担当者や外部パートナーが担当している企業では、マーケティング全体を俯瞰する役割が不在になることがあります。
各担当者が自分の領域では最適な判断をしていても、全体を統括する人がいなければ、
・訴求内容に一貫性がない
・KPIが部署ごとに分断されている
・成果の良し悪しを全体で判断できない
といった問題が起こりやすくなります。
マーケティング戦略を機能させるには、各施策を横断して、事業成果から優先順位を判断する視点が必要です。
必ずしも専任のCMOを置く必要はありませんが、誰が全体戦略とKPIを管理するのかは明確にしておきましょう。
マーケティング組織の体制や役割については、『マーケティング組織とは?体制づくりや役割を解説』でも詳しく紹介しています。
戦略はあるものの実行施策につながっていない
市場分析やターゲット設定などのマーケティング戦略を作っていても、実際の施策に反映されていなければ成果にはつながりません。
たとえば、
・ブランドの提供価値を定めたが営業資料では別の訴求をしている
・KPIは設定したが定期的に確認されていない
・戦略資料を作った後、具体的な実行計画が決まっていない
といったケースです。
マーケティング戦略は「正しい資料を作ること」ではなく、日々の施策や意思決定を変えるところまで落とし込んで初めて意味を持ちます。
そのため、戦略策定と施策実行を分けて考えすぎず、実行後の検証・改善まで含めて設計することが重要です。
自社だけで整理が難しい場合は外部の視点を活用する
マーケティング戦略は、自社内で策定することも可能です。
一方で、複数の施策や部署が関係している場合や、成果が伸びない原因を特定できない場合は、社内だけでは課題を客観的に整理しにくいこともあります。
そのような場合は、個別施策を依頼する前に、事業目標、売上構造、顧客、提供価値、顧客導線、KPI、現在の施策を横断して整理することが重要です。
Oz linkでは、広告やSEO、Web制作など特定の施策から考えるのではなく、事業課題から逆算してマーケティング全体を設計し、戦略策定から実行・改善まで一貫して支援しています。
「施策には取り組んでいるが成果につながらない」「何から改善すべきかわからない」といった段階でも、まずは現在のマーケティング課題を整理するところからご相談いただけます。
マーケティング戦略の策定や外部支援について詳しく知りたい方は、『マーケティング戦略コンサルとは?支援内容や選び方』も参考にしてください。
マーケティング戦略についてよくある質問
マーケティング戦略について、よくある疑問をまとめました。
マーケティング戦略とマーケティング施策の違いは?
マーケティング戦略は、誰に、何を、どのように届け、事業成果につなげるかを決める全体設計です。
一方、マーケティング施策は、その戦略を実行するための具体的な手段を指します。
たとえば、SEO、Web広告、SNS、Webサイト改善、CRMなどは施策です。
「どの顧客に、どの価値を届けるために、その施策を行うのか」が明確になっていることで、戦略と施策がつながります。
マーケティング戦略と経営戦略の違いは?
経営戦略は、企業全体としてどの市場や事業に経営資源を配分し、どのように成長するかを決めるものです。
マーケティング戦略は、その経営戦略や事業戦略を実現するために、顧客や提供価値、顧客導線、施策などを具体化します。
つまり、
という関係で考えると整理しやすくなります。
詳しくは、『マーケティング戦略と経営戦略の違い』も参考にしてください。
マーケティング戦略ではどのフレームワークから使えばよいですか?
最初から多くのフレームワークを使う必要はありません。
まず市場・顧客・競合・自社の状況を把握したい場合は3C分析、ターゲットやポジションを整理したい場合はSTP分析、商品や価格、販売方法、プロモーションまで具体化したい場合は4P・4C分析が代表的です。
重要なのは、フレームワークを使うこと自体ではなく、「何を判断したいのか」に合わせて使い分けることです。
フレームワークをまとめて確認したい方は、『マーケティングで活用できるフレームワーク』もあわせてご覧ください。
中小企業にもマーケティング戦略は必要ですか?
中小企業にもマーケティング戦略は重要です。
むしろ、予算や人員が限られている企業ほど、すべての施策に取り組むのではなく、どの顧客を狙い、何を強みとして、どこに経営資源を集中するのかを明確にする必要があります。
広告、SEO、SNS、営業などを幅広く実施するよりも、自社の事業目標や顧客に合った施策へ優先的に投資することで、限られたリソースを有効活用しやすくなります。
マーケティング戦略はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
マーケティング戦略に一律の見直し頻度はありませんが、定期的にKPIを確認しながら、必要に応じて修正することが重要です。
特に、
・新しい商品やサービスを開始した
・ターゲット顧客が変化した
・売上や利益が計画から大きく乖離した
・施策を続けてもKPIが改善しない
といった場合は、戦略の前提から見直す必要があります。
戦略は一度作って終わるものではなく、事業や市場の変化に合わせて継続的に更新していくものです。
まとめ|マーケティング戦略は「施策」ではなく事業成果につながる構造を設計すること
マーケティング戦略とは、広告やSEO、SNSなどの施策を選ぶことではなく、事業目標から逆算して、誰に、何を、どのように届け、どの指標を改善して成果につなげるかを設計することです。
重要なのは、
・ターゲットと提供価値を整理する
・顧客導線に沿って各施策の役割を決める
・KPIを設定し、売上や利益とのつながりを確認する
・実行後も継続的に検証・改善する
という一連の流れをつなげて考えることです。
マーケティング戦略は、施策を増やすための計画ではなく、限られた経営資源をどこに集中し、どのように事業成果へつなげるかを決めるための設計図です。
広告、SEO、SNS、Webサイトなどに取り組んでいても成果が伸びない場合は、個別施策だけでなく、ターゲット、提供価値、顧客導線、KPI、施策の優先順位まで含めてマーケティング全体を見直すことが重要です。
Oz linkでは、事業課題から逆算したマーケティング戦略の設計から、Web、広告、SEO、CRMなどの実行・改善まで一貫して支援しています。「何から改善すべきかわからない」という段階でも、まずは現在の課題整理からご相談ください。
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