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【完全ガイド】マーケティング戦略の立案方法|フレームワークと4ステップ設計術

マーケティング戦略の立案方法|フレームワークと4ステップ設計術

「マーケティングに力を入れているのに成果が出ない」「SNS広告を出しても、キャンペーンを打っても、なぜか選ばれない」という悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

その背景には、「戦略のズレ」が潜んでいることがよくあります。

本記事では、表面的なフレームワークや施策にとどまらず、顧客の行動や生活文脈から逆算する戦略の設計法を、弊社Oz link(株式会社オズ・リンク)独自の視点で解説します。

今ある戦略を見直したい方、これから立てたい方に向けて、実践で使える考え方と手順をわかりやすくお届けします。

Contents

マーケティング戦略とは?

マーケティング戦略とは、単に商品を売るための施策を組み立てることではありません。顧客の行動を理解し、意図的に動かすための設計こそが、その本質です。

マーケティング戦略は売るためではなく、動かすための設計図

マーケティング戦略とは、「誰に・何を・どうやって届けるか」を計画的に設計し、顧客が自然に商品やサービスを選ぶ状態をつくることを指します。

STPや4Pといった基本フレームの活用も重要ですが、より本質的には「顧客の生活文脈」と「行動変容」を見据えた戦略設計が求められます。

現代は、情報過多・商品過多の時代。選ばれるブランドになるためには、単発の施策ではなく、顧客理解を起点にした一貫性ある戦略設計が不可欠です。

マーケティング戦略立案のフレームワークを解説

マーケティング戦略を効果的に立案するためには、優れた発想や経験だけでなく、「フレームワーク」を用いた構造的な思考が不可欠です。戦略とは、単なる施策の羅列ではなく、企業と顧客、そして社会をつなぐ論理的な橋渡しの設計図です。

まず、戦略設計の基本としてよく活用されるのが、以下のフレームワークです。

STP分析:ターゲットに届けるべき価値を明確にする

STPとは、Segmentation(市場の細分化)、Targeting(狙うべき市場の選定)、Positioning(自社の提供価値の明確化)を指します。

マーケティング戦略の立案方法 :STP

このプロセスを通じて、「誰に対して」「どんな価値を」「どう差別化して届けるのか」という戦略の軸を整理できます。STPは戦略立案の中心であり、ここが曖昧だと、どんな施策も響きません。

3C分析:市場・競合・自社を俯瞰して見る

Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から環境を分析することで、自社が取るべきポジションや打ち手が明確になります。

顧客のニーズと期待、競合の強みや弱み、自社の資源や独自性を客観的に洗い出すことで、現実的かつ優位性のある戦略設計が可能になります。

PEST分析:外部環境の変化を捉える

Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4分類で、企業の外側にあるマクロ環境を分析します。

マーケティング戦略の立案方法:PEST

たとえば法改正や市場縮小、価値観の変化、デジタル技術の進化など、戦略を左右する外部要因を見逃さないために有効です。特に、長期的な事業設計をする際に活用されます。

「未顧客」と「CEP(生活文脈)」からの戦略設計 —— Oz linkの独自視点

多くの企業がマーケティング戦略を語る際、既存顧客やファン層へのアプローチに偏りがちです。しかし実際には、市場の大半は「未顧客」で構成されており、この未顧客をいかに取り込めるかがブランドの成長を左右します。

Oz linkでは、この“未顧客”に対する深い洞察を起点に、マーケティング戦略を組み立てていくことを重要視しています。

■あわせて読む
3C分析とは?マーケティング戦略への活かし方とPEST・SWOTとの違いを徹底解説
マーケティングの4Pとは?意味・4Cとの違い・事例・活用方までわかりやすく解説

■「未顧客」とは何か?

未顧客とは、まだ商品を知らない、あるいは知っていても購入に至っていない層を指します。一見、無関心にも思えるこの層が、実は最も大きな市場の可能性を秘めているのです。

そこで、購買頻度が0〜1回の「ライトユーザー」や「非購買層」に焦点を当て、ブランドの利用シーンを広げることで接点を生み出すアプローチを取ります。

■「CEP(Category Entry Point)」という思考法

Oz linkのマーケティング戦略で中核をなすのが「CEP(カテゴリーエントリーポイント)」の考え方です。CEPとは、人々が生活の中である行動を取る際に、その商品カテゴリーに自然とアクセスする瞬間や文脈を意味します。

たとえば、以下のようなシーンがCEPになります。
•朝起きた直後に「1日をリセットしたい」と感じた瞬間
•会議前に「自信を持ちたい」と思った瞬間
•買い物帰りに「ほっと一息つきたい」と感じたタイミング

これらの文脈において、「掃除用スプレー」「身だしなみケア」「おやつ飲料」などの特定カテゴリーが自然と想起されるように設計するのがCEP戦略の本質です。

■なぜCEPが重要なのか?

現代の市場は、機能・品質・価格では差がつきにくい“コモディティ化”が進んでいます。その中で選ばれるブランドになるには、「どのような場面で思い出されるか(第一想起)」が決定的に重要です。

この「思い出される確率 × 利用機会の数」を最大化することが、売上の本質なのです。

CEP設計によって、

① 商品と日常シーンとの結びつきが強くなる
② 購買のハードルが下がる(自然な流れで選ばれる)
③ 競合が入り込みにくい独自ポジションが生まれる

といった複数のメリットが得られます。

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カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?ブランドが“想起される仕組み”をつくるマーケティング戦略を解説

■「文脈×報酬」でベネフィットを設計する

CEPを起点として「どんな文脈で、どんな報酬が得られるか」を徹底的に言語化する必要があります。

たとえば、「早朝のキッチン掃除」という文脈であれば、「1日を気持ちよくスタートできる」という報酬が想定されます。そこに、スプレータイプの洗剤が「ワンプッシュで完了」という商品特性と結びつけば、「朝スプレーするだけで、気持ちが整う」というベネフィットが導き出せるのです。

こうした“文脈最適化されたベネフィット”こそが、顧客の行動を動かす最大の要因となります。

マーケティング戦略の立案方法

このように、Oz linkのマーケティング戦略は、従来のターゲティング発想を超えて、生活の中でブランドが自然に思い出され、使われる設計(=行動設計)へと進化させています。

Oz linkが活用する4ステップのマーケティング戦略立案

マーケティング戦略の精度は「設計の深さ」で決まります。Oz linkでは、現場で再現性のある戦略設計を可能にするために、「分析」「理解」「設計」を分離せず、構造的に統合した4ステップテンプレートを活用しています。

ここでは、Oz linkが活用する具体的なプロセスを紹介します。

STEP1|市場環境分析:外部変化と構造的チャンスを捉える

最初のステップは、市場の“表層”ではなく“構造”を理解することです。PEST分析や業界トレンドを使ってマクロ環境を整理しつつ、下記のような問いで市場の構造変化を読み解きます。

•なぜ今この市場が動いているのか?
•顧客は何を買っているのではなく、なぜ買っているのか?
•過去と現在の“顧客の合理”はどう変化しているか?

この分析は、単に「今流行っている」ではなく、「なぜその変化が起きているのか?」という因果構造を把握することが目的です。

さらに、市場の未顧客構造非購買要因にも着目し、どこにチャンスが埋もれているかを見極めます。

STEP2|自社 / 競合分析:独自性と選ばれない理由を可視化する

次に行うのは、自社の強みやアセット(資源)を言語化し、競合との比較から差別化軸(POD)と同質化軸(POP)を整理する作業です。

マーケティング戦略の立案方法

一般的なSWOT分析に加えて「3C分析」「POF(Point of Failure:選ばれない理由)」を活用します。

•競合が獲得できていない顧客は誰か?
•競合のコミュニケーションはどんな価値観に訴求しているか?
•自社はどの文脈で思い出されやすいか?

このように、機能や価格だけでなく、生活者の文脈で「自社がどう想起されているか」を軸に分析することで、単なる表面的な差別化から脱却し、顧客視点に即したポジションを築きます。

STEP3|関係者インタビューで現場の肌感と矛盾を拾い上げる

市場や競合だけを見ていても、真のマーケティング戦略は作れません。Oz linkでは、社内外の関係者インタビューを通じて、表に出てこない「暗黙知」や「矛盾」を拾い上げるプロセスを重視します。

•営業現場が感じている違和感
•カスタマーサクセスが見ている顧客の使い方
•社内で語られていない「理念」や「志」
•経営者やブランドマネージャーのこだわりや諦め

このインタビューによって、「戦略と現場のズレ」「顧客と想定のズレ」をあぶり出し、後の設計精度を高めます。ここで抽出された矛盾は、戦略にとってむしろ重要な起点となります。

STEP4|マーケティング戦略設計で生活文脈から戦略を逆算する

これまでの分析・理解を踏まえ、いよいよマーケティング戦略の骨子を設計していきます。以下の要素を「構造」として設計します。

WHO|誰に届けるのか?
•未顧客・ライト層を含めたターゲットの生活文脈
•どんな場面で「買いたい」ではなく「思い出す」のか

WHAT|何を届けるのか?
•商品が提供する「便益(報酬)」の言語化
•それを支える「RTB(信頼の根拠)」
•競合と被らない意味の独自性

HOW|どう届けるのか?
•タッチポイントとタイミングの設計(SNS、広告、営業)
•想起されるための文脈一致メッセージ
•KPIは「第一想起率」「接触頻度」「購買率」などで可視化

この設計フェーズでは、施策単体ではなく「構造」で語れることが重要です。つまり、「なぜそのベネフィットなのか」「なぜそのメッセージなのか」が文脈と戦略で一貫して説明できるかが、成果を左右する分かれ目です。

この4ステップテンプレートに沿うことで、Oz linkの戦略は「表層の打ち手」ではなく、「顧客の行動を変える設計」へと昇華されます。そして最終的に、それは“選ばれ続けるブランド”をつくる土台となっていきます。

よくある失敗とその回避策

どれだけ優れたフレームワークを使っても、成果に結びつかないマーケティング戦略には共通する落とし穴があります。戦略が機能しなくなる典型パターンと、それを避けるための思考のポイントを共有しています。

失敗1|フレームワークを埋めることが戦略になっている

戦略設計にありがちなのが、PESTや3C、SWOTを「埋めること」が目的化してしまうパターンです。こうした分析はあくまで問いを深めるための“手段”であり、思考停止しては意味がありません。

回避策:フレームワークは“仮説を磨くための問い”として使う

各分析で導いた気づきを、「それはなぜ起きているのか?」「他の文脈でも同じことが言えるか?」と再解釈することで、実行可能な戦略へとつなげることができます。

失敗2|戦略が机上の空論になっている

上流で設計した戦略が、現場で実行されずスライドの中だけの存在になってしまう。これは、戦略と現場の乖離が原因です。社内の暗黙知や矛盾を吸い上げる関係者インタビューなどのプロセスを戦略設計に必須なのです。

回避策:現場の“違和感”を戦略に組み込む

営業・CS・開発・経営、それぞれの視点から得られる情報をノイズとして処理せず、「ズレの兆候」として設計に活かすことが、戦略の実効性を高めます。

失敗3|「ターゲット」を“人”で定義してしまう

よくある誤解として、「ペルソナ設計=マーケティング戦略」としてしまうケースがあります。しかし、人の属性や性格ではなく、その人がどの文脈で商品に接触するのかを明らかにしなければ、行動は変わりません。

回避策:ターゲットは「生活シーン」で定義する

Oz linkでは、CEP(Category Entry Point)の考え方に基づき、「いつ・どこで・なぜ・誰と・どんな気分で」商品が思い出されるのかという“状況起点のターゲティング”を重視しています。

失敗4|商品やサービスの“スペック”だけで勝負しようとする

「うちのサービスは高性能」「他社よりコスパが良い」という訴求だけでは、今の市場では選ばれません。多くの競合が同様の主張をしている中で、“なぜこのブランドを選ぶのか”という感情的な理由=ベネフィットが不可欠です。

回避策:「文脈×報酬」からベネフィットを設計する

「朝の慌ただしさの中でも、これ1本で落ち着ける」「子育ての合間に、自分を取り戻せる」といった、顧客が感じる変化・感情=報酬を言語化することが、差別化の本質となります。

失敗5|改善がKPIの数字合わせで終わってしまう

CVRやCTRの改善だけに目が向くと、本質的な“顧客の行動変化”を見逃してしまいます。想起率(第一想起)やCEP接触数など、行動を動かす「前段階の指標」に注目して戦略改善を行います。

回避策:KPIは「人が動く設計の再確認」のために使う

仮説通りの行動が起きているか? メッセージは文脈に合っていたか? という問いに向き合うことで、戦略全体を再設計する視点が持てます。

戦略の失敗は、スキル不足ではなく「思考構造のズレ」から起きます。だからこそOz linkでは、テンプレートやフレームワークに“当てはめる”のではなく、問いを立て、問いを深め、仮説を構造化することを重視しているのです。

成功する企業は何をしているか?

マーケティング戦略で成果を出し続けている企業には、共通する“構造的な習慣”があります。

それは、流行の手法や表面的な差別化に頼るのではなく、顧客の行動構造を深く理解し、それに合わせて企業自体の構造を整えていることです。

マーケティング戦略の立案方法

以下に、Oz linkが数多くの支援現場で見出した「成功の共通項」を紹介します。

1. 顧客理解を“見える顧客”だけで終わらせない

成果を出す企業は、既存顧客やファン層だけに目を向けず、未顧客やライト層を含めた市場全体の構造を常に捉えています。

「なぜ買っていないのか?」「いつ思い出されるべきなのか?」といった問いを起点に、潜在的な利用シーンを洗い出しています。

2.フレームワークを埋めるためではなく“仮説を深めるため”に使っている

成功企業は、STPや3Cを「項目として埋める」のではなく、「本質的な仮説検証の問い」として活用しています。分析結果そのものではなく、そこからどんな仮説が導き出されるか、そして何をやめるかという意思決定の精度にこだわっています。

3. 第一想起をKPIとして設計に組み込んでいる

「どの文脈で想起されるか」を起点に、ブランドが“いつ・誰に・なぜ”思い出されるべきかを明確に設計しています。そして、それを「第一想起率」などの指標として定義し、KPIに落とし込んでいきます。

ただ知っているではなく、「思い出される確率」を上げることが成果につながると理解している点が、成功する企業の大きな特徴です。

4. ベネフィットとRTBを構造的に設計している

顧客に伝える便益を、その場その場で考えているのではなく、「文脈 × 報酬 × 商品特性」の構造から逆算して設計しています。

さらに、そのベネフィットが「なぜその企業ならではなのか」を示すRTB(信頼される理由)もセットで言語化されており、コミュニケーションに一貫性と説得力があります。

5. 施策ではなく設計に最も時間をかけている

施策のスピードや手数ではなく、「その行動はなぜ起きるのか?」「どの文脈なら行動は変わるのか?」という設計の問いに最も多くの時間をかけています。

短期成果にとらわれず、構造からブランドを育てることに集中できている点が、成功企業とそうでない企業の決定的な違いです。

マーケティングとは、目立つ施策を打つことではなく、「誰かの行動をどう変えるか」を設計すること。成功する企業はその本質を理解し、問い・構造・設計に対してブレずに取り組み続けています。

まとめ:戦略とは「行動を変える設計」である

マーケティング戦略とは、単なる「計画書」や「施策の一覧表」ではありません。本質は、顧客の行動を変えるための設計そのものです。

顧客は、生活の中で何かを思い出し、何かを選び、何かを行動に移します。その瞬間を設計できるかどうかが、企業のマーケティング成果を左右します。

Oz linkのマーケティング戦略は、以下のような構造思考をベースにしています。

•顧客理解は「見える人」ではなく「動かない人」から始める
•市場の構造変化と行動の文脈を読み解く
•ベネフィットは「生活者の報酬」から逆算して設計する
•KPIは「第一想起 × 利用機会数」で評価する
•フレームワークは「問いを深める道具」として使う

これらの発想を通じて、マーケティングは表現の工夫ではなく、人間の合理に寄り添った行動のデザインに変わっていきます。

最後に、戦略設計においてもっとも重要なことは、「何を言うか」ではなく、「なぜ、誰のどんな文脈で、どう思い出されたいのか」を構造的に考えること。

戦略とは、行動を変える設計図です。その設計にこそ、企業の未来がかかっているのです。

自社のマーケティング戦略に悩んでいる方へ

Oz linkでは、マーケティング戦略の立案から実行支援まで、構造に基づいたコンサルティングをご提供しています。

「戦略が形だけになってしまう」「顧客理解が曖昧なまま進んでいる」といった課題をお持ちの方は、無料相談・お問い合わせから、お気軽にご相談くださいませ。

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About meこの記事を書いた人

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Oz link 編集部

顧客起点の科学的マーケティングを一気通貫で支援し、企業の持続的な成長を実現するマーケティングコンサルティング・採用コンサルティング企業「株式会社Oz link(オズ・リンク)」。ブランディングやマーケティング全般、プロモーションや営業活動、人材採用/インターンシップ設計における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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