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なぜ新卒採用は難しいのか?課題の本質と成功企業の戦略を解説
「毎年採用に苦戦している」「説明会には来るが応募が集まらない」「選考辞退や内定辞退が続いてしまう」──そう感じている企業は、決して少なくありません。
特に中小・ベンチャー企業では、大手企業との認知力の差、体制の限界など、新卒採用を“構造的に難しくしている要因”が複雑に絡み合っています。 しかしその一方で、 同じような環境下でも成果を出している企業があるのも事実です。
本記事では、「なぜ新卒採用は難しいのか?」という問いに対し、背景となる市場変化と企業側の課題を明らかにしながら、成功企業が実践している 再現可能な採用戦略の共通点 を解説します。
また、マーケティング視点で採用設計を支援する弊社Oz link(株式会社オズ・リンク)のアプローチもご紹介しますので、採用の質とスピードに悩む方はぜひ参考にしてください。
Contents
新卒採用が難しいと感じる企業が増えている背景
年々「新卒採用が難しくなった」と感じる企業は増え続けています。これは一時的な現象ではなく、学生側の価値観の変化と、市場構造の変化が複合的に影響しているためです。
ここでは、採用難が進行する背景を3つの視点で整理します。
学生の価値観が多様化し、「共感採用」が重視されている
かつてのような「安定志向」や「年収重視」ではなく、現代の学生(求職者)は、
・ 働く意味や社会的意義を重視する
・ 自分の価値観や生き方にフィットする企業を探している
・ キャリアの多様性や柔軟性を求めている
といった傾向を強めています。
つまり、 会社の“中身”や“考え方”に共感できなければ、説明会やエントリーページだけでは動かなくなっている のです。
売り手市場の激化と情報の非対称性
人口減少と就職希望率の低下により、企業側は「限られた学生」を取り合う状況にあります。
特に中小・ベンチャー企業では、
・ 最初の接点が作れず、候補に入れてもらえない
・ 魅力を発信しても、他社に埋もれて印象に残らない
・ 内定を出しても辞退されてしまう
といった母集団形成の難しさと、歩留まりの悪化が深刻です。
学生は選択肢が増える一方で、企業の違いが見えづらく、“知られていても選ばれない”問題が表面化しています。
中小・ベンチャー企業の「魅力の伝え方」が難しくなっている
新卒採用市場では、知名度や福利厚生の整備状況など、大企業に有利な比較軸が多数あります。その中で中小・ベンチャー企業が選ばれるには、単なる制度や業務内容ではなく、
・ なぜこの会社で働くのか
・ どういったキャリアが築けるのか
・ どんな人と働くのか
といった“動機に直結するメッセージ設計”が求められます。
しかし、多くの企業がこの伝え方に苦戦し、本来の魅力を伝えきれないまま脱落しているのが現状です。
新卒採用がうまくいかない企業に共通する課題
採用活動に十分な時間や費用をかけているにもかかわらず、なぜうまくいかないのか──Oz linkがこれまでに支援してきた企業の多くが、同じような「構造的な課題」を抱えていました。
ここでは、成果が出ない企業に共通して見られる3つの課題を解説します。
課題1:なんとなく始まる「戦略なき採用」
・ 「昨年と同じ流れで動いている」
・ 「とりあえずナビ媒体に掲載」
・ 「説明会の開催がゴールになっている」
このように、目的やターゲットを明確にしないまま採用活動を開始してしまうと、毎年同じ失敗を繰り返すことになります。
採用とは、本来「組織の未来像」を実現するための戦略です。 どんな人材が必要か/なぜその人に来てほしいのか/どうやって動機づけるか という視点がない限り、成果は実現されないのです。
課題2:差別化されていない訴求・コンテンツ設計
説明会や募集ページにおいて、「よくあるキーワード」が並ぶだけの内容になっていませんか?
・ 「風通しの良い社風」
・ 「若手にもチャンス」
・ 「アットホームな職場」
これらは差別化につながらず、他社と“見分けがつかない”状態を招きます。特に中小・ベンチャー企業では、“働く意味”や“価値観の一致”を感じられるコンテンツ設計が求められるのです。
課題3:動機形成を促す選考プロセスが設計されていない
説明会で惹きつけられたとしても、選考に入ってから辞退されてしまう――これは「動機形成」のプロセス設計が弱いことが原因です。
学生が内定承諾に至るまでには、
・ 自己理解(自分の軸が明確になる)
・ 他者理解(企業の考え方や価値観を深く知る)
・ 意思決定(将来像との接続を感じる)
という段階があります。これらを踏まえた選考設計がなければ、早期離脱や“なんとなく辞退”が起こりやすくなります。
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採用成功企業に共通する3つの戦略視点
成果を出している企業は、「ナビ掲載」「説明会開催」といった単発の施策に頼るのではなく、 採用そのものを“戦略として設計”しています。
特に中小・ベンチャー企業で成功している企業は、 誰を、何で、どう動機づけるのか を明確に定義しています。
以下では、採用戦略設計の基盤となる3つの視点をご紹介します。
① WHO:どんな人を採るべきかを明確にする
採用ターゲットを「学歴」や「経験」だけで捉えるのではなく、
・ どんな価値観を持っているか
・ 自社のカルチャーとフィットするか
・ 将来的にどのように成長できそうか
といった姿勢や思考特性を含めた “人物像の明確化” が重要です。
Oz linkでは、ターゲットの人材特性やスキルなどの人物像をクリアにし、「どんなタイプの人材が定着・活躍しているか」をデータで可視化 することから始めます。
② WHAT:その人に響く価値が何なのかを整理する
採用広報でよく見られる誤りは、「伝えたいこと」ばかりを発信してしまうことです。成功している企業は、「 ターゲットが知りたいこと・共感すること」 にフォーカスしています。
・ この会社で働くことで、何が得られるのか?
・ どんな成長機会や挑戦の場があるのか?
・ どんな人と、どんな目的で仕事をするのか?
これらを言語化し、 一貫したメッセージとしてコンテンツに落とし込む ことが、学生の共感と記憶に残る鍵になります。
③ HOW:動機を形成する選考プロセスを設計する
採用戦略の本質は「惹きつけ→納得→決断」という 感情と理解の導線をどう設計するか にあります。
たとえば、
・ インターンで仕事の一部を体感させる
・ 面接で価値観を深掘りする時間を設ける
・ 経営層との対話機会を通じて、会社の「本音」に触れてもらう
これらの設計により、 「なんとなく良さそう」から「ここで働きたい」に変化するプロセス が生まれます。
Oz linkでは、学生の心理変化と選考フェーズを連動させた採用ジャーニー設計を実践しています。
マーケティング視点で採用戦略を設計するOz linkのアプローチ
Oz linkは、「採用はマーケティングである」という考えのもと、 企業の採用活動を単なる人事業務ではなく、“候補者という顧客に選ばれる設計”として捉えています。
この視点が、他の採用支援会社との大きな違いであり、 戦略的かつ再現性のある採用成果を生み出す源泉 となっています。
以下では、Oz linkが実践している3つの具体的なアプローチをご紹介します。
候補者インサイトを起点にしたペルソナ設計
Oz linkでは、単に「理系」「関東在住」「〇〇大学出身」といった属性ではなく、 候補者がどんな価値観や将来像を持っているか に着目してペルソナを設計します。
・ なぜ働くのか
・ どんな会社であれば長く働きたいと思うのか
・ 何に共感し、どんな情報で行動を起こすのか
こうした深層心理= インサイト を可視化することで、「共感される採用メッセージ」「刺さるコンテンツ」「納得感のある選考体験」の軸が定まります。
バリュープロポジションを明確にする採用戦略
Oz linkでは、採用活動における中心軸として 「バリュープロポジション」 の策定を行っています。これは、求職者にとって「この会社で働くことがどんな価値をもたらすのか」を明文化するものであり、企業の一方的な魅力発信ではなく、「なぜ選ばれるべきか」を市場の中で構造的に定義するアプローチです。
特に重要なのは、 「市場の中でどのような企業として認識されるべきか」 、そして「競合他社と比較した際に、どの点で差別化されているか」という視点です。
新卒採用では学生が複数の企業を同時に検討するため、他社と並んだときに「この企業ならでは」と思われる独自のポジションを持つことが、意思決定を後押しする力になります。
バリュープロポジションは、以下の3要素から設計されます。
・ WHO:誰に
└求める人物像やターゲット学生の就活軸・価値観を明確にする
・ WHAT:何を伝えるか
└「目標の魅力」「活動の魅力」「風土の魅力」「特権の魅力」といった観点から、自社の本質的な魅力を言語化する
・ RTB(Reason To Believe):信じるに値する理由
└魅力を裏付ける具体的な実績・制度・社員の声・数値などを整理し、納得感を設計する
このように、採用活動の根幹にバリュープロポジションを据えることで、「共感される理由」「選ばれる理由」「納得される根拠」が一貫した採用コミュニケーションとして機能します。
採用ジャーニーに沿った動機形成ステップの設計
Oz linkでは、学生(求職者)の行動・感情の変化を「ジャーニーマップ」として構造化し、求職者との接点を持つタイミングや求職者が必要な情報、印象を決定づける体験を逆算して設計します。
例:
・ 認知期 → SNSや広告で企業観に触れる
・ 興味期 → コンテンツで自分との共通点を見出す
・ 応募検討期 → 社員との接点・働くリアルを体感
・ 比較期 → 自己理解と企業理解を一致させて意思決定へ
このように、 “惹きつけて、納得し、選ばれる”プロセスを一貫してデザイン するのがOz linkの特長です。
戦略から実行・改善まで一貫したPDCA体制
採用は1回きりではなく、「毎年回すもの」「中長期で磨き続けるもの」です。
Oz linkでは、戦略設計・コンテンツ開発・施策実行・効果検証までを一貫支援し、 次年度以降も活かせる採用資産を残すこと を重視しています。
・ どのチャネルが効果的だったか
・ どのコンテンツが反応を得たか
・ 選考ステップで離脱が多いポイントはどこか
こうしたデータをもとに “採用活動をマーケティングPDCAとして回す”体制を企業内に実装する ことで、持続的な採用力が育ちます。
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「新卒採用における母集団形成の重要性と成功のための戦略」
まとめ|採用の難しさは「設計」で乗り越えられる
「新卒採用がうまくいかない」と感じるのは、必ずしも自社の魅力が劣っているからではありません。本当の課題は、 その魅力を“誰に”“どう伝えるか”という設計がなされていないこと にあります。
本記事では、新卒採用が難しくなっている背景や、採用がうまくいかない企業の共通点、成功企業に共通する3つの戦略視点を整理しました。
そして、マーケティング視点で採用を設計するOz linkのアプローチを通じて、 採用を「感覚」から「戦略」に進化させることの可能性について紹介しました。
採用市場はこれからも変化し続けます。だからこそ今、 「仕組みとして成果を出せる採用設計」に取り組むことが、企業の未来を左右する と言えるのではないでしょうか。
採用設計に関して少しでも気になることがあれば、ぜひ一度Oz linkにご相談ください。
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この記事を書いた人
Oz link 編集部
デジタル戦略を中心にクライアントを成功へ導くマーケティングコンサルティングエージェンシー株式会社Oz link(オズ・リンク)。顧客起点の科学的マーケティングを一気通貫で支援することで、企業の持続的な成長を実現します。ブランディングやマーケティング全般、プロモーションや営業活動における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
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