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新卒採用とは?意味・目的・中途との違いまで丁寧に解説|採用設計に役立つ基本知識

新卒採用とは?意味・目的・中途との違いまで丁寧に解説|採用設計に役立つ基本知識

企業の採用活動において、なぜ多くの企業が「新卒採用」に力を入れているのでしょうか。

単に若手を確保するだけなら、中途採用という手段もあります。それでもなお、新卒採用を重視する企業が多いのは、それが企業の成長や文化形成に深く関わる「経営戦略の一部」だからです。

本記事では、「新卒採用の意味」を軸に、企業が新卒採用を行う目的や中途採用との違い、さらにメリット・デメリットや注意点までを、マーケティング視点を交えて解説します。

採用担当者として戦略的に新卒採用を設計するうえでのヒントを得たい方にとって、実践的な内容となっています。ぜひ最後までご一読ください。

新卒採用の意味とは?

まずは、新卒採用が企業活動においてどのような位置づけを持つのか、その本質的な意味について整理しましょう。

新卒採用の基本的な定義

新卒採用とは、大学や専門学校などを卒業予定の学生を対象に、決められた採用スケジュールに沿って実施される採用活動を指します。

企業によっては、内定から入社まで半年以上の時間をかけて求職者との関係構築や育成準備を進めていく場合もあり、採用後の育成までを見据えた長期的な取り組みが特徴です。

人手補充ではなく経営戦略の一部

「人材の補充」という側面だけで新卒採用をとらえるのは不十分です。なぜなら「新卒採用」は、将来的に組織の中核を担う人材を迎え入れる第一歩であり、企業の方向性や成長戦略と深く結びつくテーマだからです。

どのような人材を迎え、どのように育成していくかによって、組織の文化や成果に大きな影響が生まれるととらえましょう。

理念浸透やブランド構築にもつながる

新卒採用では、学生がまだ特定の企業文化に染まっていない段階で接点を持つことができるため、企業理念やビジョンを伝えやすいという利点があります。

企業の価値観に共感した求職者が早い段階で組織に加わることで、理念の浸透や一体感のある組織作りにも繋がっていきます。さらに、新卒採用は採用広報という形で外部に情報を発信する場でもあるため、自社の魅力や強みを学生市場に伝えるブランディングの機会にもなります。

この接点が将来的な顧客獲得やパートナーシップ形成にもつながることがあります。

企業が新卒採用を行う3つの目的

企業が新卒採用を行う3つの目的

新卒採用には、単に若手人材を確保する以上に、企業の未来を支える複数の戦略的な目的があります。以下では、経営・組織・ブランディングという3つの観点から、その主な目的を解説します。

1. 経営戦略としての人材投資

企業にとって、どれほど優れた戦略やビジネスモデルがあっても、それを実行するのは最終的に「人」です。

そのため新卒採用は、将来的に事業の中核を担う人材を早期に確保し、長期的な視点で育成していくための投資とも捉えられます。特に中小・ベンチャー企業では、即戦力以上に「カルチャーに適合し、伸びしろのある人材」を獲得し、自社の変化や成長とともに育てていくことが重要です。

新卒の段階から組織の一員として育成していくことで、経営戦略と人材戦略を連動させることが可能になります。

2. 理念やビジョンの浸透を促進する組織戦略

学生はまだ職業観や価値観が固まりきっていない段階で企業と出会うため、企業側が大切にしている理念やビジョンを伝えるには最適なタイミングです。

入社前後の段階から理念を共有し、組織文化に自然と馴染ませることで、価値観のズレやミスマッチを減らすことができます。

また、新卒から一貫して企業文化の中で経験を積むことにより、中長期的には理念を体現できるリーダー人材の育成にもつながります。

3. 採用活動を通じたブランディングと市場接点の創出

新卒採用は、採用広報を通じて学生市場と直接つながる数少ない機会です。

求職者は企業に対して関心を持ち、情報を積極的に受け取る姿勢があるため、企業の魅力や独自性をダイレクトに伝えることができます。

これは、単なる採用活動にとどまらず、将来の顧客やパートナーに対する認知形成やブランド構築の一環でもあります。採用を通じて良い印象を持ってもらえれば、たとえ応募や入社に至らなくても、企業に対するポジティブな評価やクチコミとして広がる可能性があるのです。

新卒採用と中途採用の違い

新卒採用と中途採用は、いずれも人材を確保する手段である点は共通していますが、その目的や効果、運用方法には明確な違いがあります。

ここでは、企業側の視点から両者の違いを整理し、新卒採用が担う独自の役割について考えていきます。

採用の目的と前提が異なる

中途採用は、既に業務経験やスキルを持った即戦力を求めるものであり、欠員補充や事業拡大に対応する短期的なニーズに応じて実施されることが多いです。

これに対して、新卒採用は将来的な中核人材の育成を前提とした長期的な視点の採用です。

特に組織の文化や価値観に共感し、それを体現できる人材を一から育てるという意味で、企業の未来を担う人材投資とも言えます。

戦力化までのスパンと育成前提

中途採用は、入社後すぐに成果を求められるケースが多いため、選考ではスキルや経験のマッチングが重視されます。

一方、新卒採用では、将来の活躍を見据えたポテンシャル採用が基本となります。

そのため、企業側には入社後の育成体制が求められ、時間とコストをかけて丁寧に育てるという姿勢が必要です。即効性よりも、理念浸透や企業理解を深めた上での活躍を期待するプロセス設計が重要になります。

組織作りへの影響の違い

中途採用によって多様な価値観や新しい知見を取り込める一方で、文化的な統一感を保つことが難しくなる場合もあります。

対して、新卒採用は価値観のベースが近い人材を同時期に迎え入れ、一貫した文化形成を進めやすいという利点があります。

この違いは、将来的なリーダー人材の育成や、経営理念・企業理念を体現できる組織の構築において、大きな影響を与える要素となり得るのです。

新卒採用のメリットとデメリット

新卒採用には、企業の成長や文化形成において大きな可能性がありますが、その一方で一定のリスクや課題も存在します。

以下では、新卒採用を実施する際に押さえておきたい主なメリットとデメリットを整理します。

新卒採用のメリット

新卒採用の最大の利点は、将来を見据えて自社に適した人材を一から育成できることです。

価値観や考え方が柔軟な段階で入社するため、企業理念や文化が浸透しやすく、中長期的には自社に合ったリーダーや中核人材として成長する可能性があります。

また、新卒は一斉入社が前提となるため、教育体制やオンボーディングプロセスを標準化しやすい点も企業側の運用面での利点です。同じタイミングで複数名を迎えることで、同期としての繋がりや社内コミュニケーションの活性化にもつながります。

さらに、採用活動を通じた企業広報やブランディングの強化、将来的なファン層や顧客層との接点形成といった効果も期待できます。

新卒採用のデメリット

新卒採用には育成コストや時間がかかる、という課題があります。

入社時点では実務経験がないため、戦力化までには一定の時間と人的リソースを要することになります。

また、選考時にはポテンシャル重視で採用するケースが多いため、配属後にスキルや価値観のギャップが生まれる可能性も否定できません。採用後のフォロー体制やフィードバック設計が不十分な場合、早期離職につながるリスクもあります。

加えて、採用市場の競争激化により、早期からの求職者アプローチや、選考段階での魅力訴求の工夫が求められる点も企業にとってのハードルとなります。

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新卒採用で注意すべきポイント【4選】

新卒採用で注意すべきポイント

新卒採用では、求職者の志望度や行動スピードの変化に合わせて柔軟に戦略を設計する必要があります。

ここでは、見落とされがちな4つの落とし穴について解説します。

動き出しが遅れると、優秀層と出会えない

採用スケジュールが年々早期化している中で、3年生の夏から秋にかけてインターンなどで早期接点を設けている企業も少なくありません。

そのため、求める学生層が動き始めるタイミングを見誤ると、最初からターゲットとの接点を失ってしまう可能性があります。

特に競合他社とターゲットが重なる場合は、アプローチの時期と方法が採用成功を大きく左右します。媒体解禁の時期にあわせた対応ではなく、ターゲットに合わせた母集団形成の設計が重要なのです。

接点ごとの伝える内容に一貫性がない

インターン、会社説明会、面接など、求職者との接点が複数あるにもかかわらず、それぞれで伝える内容やトーンがバラバラになってしまうと、求職者に伝えたい価値や魅力がぼやけてしまいます。

求職者の志望度を高めるには、段階に応じて情報を整理し、一貫したメッセージと体験を提供することが欠かせません。どのフェーズで何を伝えるか、誰がどの役割を担うのか、事前にシナリオ設計を行う必要があります。

採用広報と現場対応にギャップがある

採用サイトやSNS、募集ページで発信しているイメージと、実際に面接や説明会で接した社員の話や雰囲気が一致していないと、求職者に違和感を与えてしまいます。特に現代の学生は情報を横断的にチェックしており、細かな印象の違いにも敏感です。

採用に関わるすべてのチャネルにおいて、伝える内容やビジュアル、言葉遣いに統一感を持たせ、企業ブランドのイメージを一貫させる工夫が求められます。

属人的な運用に頼りすぎている

採用活動を一部の担当者や現場の感覚に任せていると、対応の質にばらつきが出たり、改善が属人的になったりするリスクがあります。

特に新卒採用は年次ごとに市場環境が変化するため、過去の成功事例がそのまま通用しないケースも多く見られます。

評価基準や面接の進め方、動機形成の流れなどを言語化し、複数の関係者で共有することで、安定したクオリティを維持しやすくなります。属人化を防ぎ、チーム全体で戦略を遂行できる体制づくりが重要です。

【5STEP】失敗しない新卒採用のフローとは?

【5STEP】失敗しない新卒採用のフローとは?

成果につながる新卒採用を実現するには、戦略設計から実行までの流れを一貫して設計する必要があります。

以下では、弊社Oz link(株式会社オズ・リンク)が採用支援の現場で活用している5つのステップに沿って、採用フローの全体像を紹介します。

STEP1|人物像の明確化

採用成功の起点となるのが、どのような人材を採用したいかを明確にすること。

大学レベルや志向性タイプをもとにした人材マッピングを行い、自社にマッチするターゲット像を具体化することが重要です。

STEP2|バリュープロポジションの策定

他社と比較される中で、なぜ自社を選ぶべきなのかを明確に言語化するフェーズです。

「目標」「活動」「風土」「特権」の魅力といった4つの切り口で、自社独自の魅力を棚卸しし、求職者に伝えるメッセージを設計します。

競合他社と似通った訴求にならないよう、自社が提供できる価値を整理することが求められます。

STEP3|ジャーニーマップの設計

ターゲットとなる求職者が、どのタイミングで何を感じ、どう動くのか。その意思決定のプロセスを時系列で描くのがジャーニーマップです。

たとえば、夏のインターンで興味を持ち、秋の会社説明会で理解を深め、冬の面接で意思決定を固めるといった流れを想定し、それに沿った接点やメッセージを設計していきます。

自社都合ではなく、求職者起点でスケジュールを組み立てることが重要です。

採用ジャーニーマップ

STEP4|コンテンツ設計

採用活動の各フェーズで使用するコンテンツを設計します。

インターンや会社説明会の資料、社員紹介、動画、採用サイトなど、伝えるべき情報と媒体を整理し、ターゲットごとに響く内容を開発していきます。

特にインターンなどの体験型のプログラムは、求職者の記憶に残りやすく、志望度を高めるうえで効果的です。

STEP5|プロセス設計と実行

選考プロセス全体を通じて、どのタイミングで誰がどのような役割を果たすのかを設計します。評価基準、動機形成のシナリオなどを明確にし、属人的な運用に頼らない体制を構築することがポイントです。

また、PDCAを回すための評価項目や改善手順を組み込み、毎年の変化にも柔軟に対応できるように設計しておくことが大切です。

まとめ|新卒採用は未来をつくる経営戦略

新卒採用は未来をつくる経営戦略

新卒採用は、単なる人材確保の手段ではなく、企業の未来を形づくる経営戦略の一環として機能します。

理念やビジョンを共有できる若手人材を迎え入れ、組織文化を醸成し、長期的な成長につなげていくためには、採用活動そのものを戦略的に設計することが不可欠です。

本記事でご紹介したように、新卒採用には明確な目的があり、中途採用とは異なるアプローチが求められます。また、メリットとデメリットを正しく理解し、注意すべきポイントを踏まえたうえで、自社に最適な採用フローを設計することで、成果に直結する採用活動が実現できます。

採用の成否は、目先の母集団の大きさや選考スピードだけで決まるものではありません。

どんな人材に、どのような魅力を、どのタイミングで伝えるか。その一つひとつの設計が、企業の未来を左右すると言っても過言ではないでしょう。

採用にお悩みの企業様へ|一緒に、次の一手を考えてみませんか?

「採用の設計が感覚的になっているかもしれない」「伝えたい魅力がうまく言語化できていない」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

私たちOz link(株式会社オズ・リンク)では、企業ごとの課題や組織のありたい姿に寄り添いながら、人物像の明確化や魅力訴求の設計、コンテンツ・プロセスの具体化まで、丁寧にご支援しています。

もし少しでも「話を聞いてみたい」「どこから着手すべきか相談したい」と感じていただけましたら、お気軽にご相談・お問い合わせくださいませ。

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顧客起点の科学的マーケティングを一気通貫で支援し、企業の持続的な成長を実現するマーケティングコンサルティング・採用コンサルティング企業「株式会社Oz link(オズ・リンク)」。ブランディングやマーケティング全般、プロモーションや営業活動、人材採用/インターンシップ設計における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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